未定

□未定01
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見慣れた街並み、見慣れた風景、そして聞き慣れた雑音

立ち止まって見上げればいつもと変わらぬ青い空・・・

「平和だなー」

「ちょー暇いー。遊びいこーよー」

「わっ、時間がもうない!!急げ!!俺!!」

見上げたまま耳を澄ますと雑音から溢れてくる言葉や音

「・・・めっちゃ耳障りな音だ」

ポツリと出た言葉に一人苦笑いして歩みを再開させる

そして、口角を上げて付け足すように言った

「ま、そう思えんのは幸せってこった」

そして、慣れたように店の裏口から入っていた


未定01つ


「レジ確認、金庫確認、火元確認、電気確認・・・・

『ガチャガチャ』

戸締り確認っと。よっし、全てかんりょー」

この物語の主核、璃はようやくアルバイトを終えて家路についた

ザイキューレにあるこの街、リィーズは大陸内で最も科学が発展している所だ

本来なら璃は仕事をせず、家でゴロゴロしていたい性だ

しかし、歳はもう21、成人を過ぎている

彼女の両親はそれを防ぐべく、働かないと暮らしていけない街、リィーズに追いやった

そして今、璃は両親の思惑通り働いている

「・・・あ゛ー、クソッ!」

ガシガシ

この街に住む経緯を回想していた璃は乱暴に頭を掻く

「思い出したらイライラしてきた。これからずっとヒモになる予定だったのに!!」

そう言いながらも一歩ずつ確実に家への道を進んでいく

日はもう地平線へと消えかけていた

「チッ。あんのクソ店長のせいで何時もよか遅くなっちまったじゃねーかよ」

ガンッ

璃は鬱憤を晴らすかの様に街に設置してある数少ない街頭の柱を蹴った

今日の帰宅時間は璃にとって通常では無かった

何時もならまだ空が赤く染まっている頃には家に着いていた

「はぁー・・・なーにが『今日は俺様の御生誕日だ!だから、今日の俺様の遅番チェンジな!よろしくー!!』だ。言った後すぐさま自分の荷物と共に能力で逃げやがって・・・。俺様ってあのクソヤロー、今日で42だろ。あり得ねー。あの歳で俺様って頭オカシイんじゃねぇか。しかも御生誕日って自分で言ってさー。ついでに言うと、独身じゃんか。ケーキ1ホール買って一人でつつくのか。ハッ、虚しい奴だな、クソ店長」

璃は一頻り悪口を言うと、少しだけ、ほんの少しだけ店長に対しての不満が減った気がした

そしてまた黙々と歩みを続ける

空は既に沈んだ赤く燃えた日の光の余韻を残しながら・・・

空は、街は、闇に飲まれていく

月は出ていない

星も出ていない

街頭は未だにつかず意味をなしていない

通りには人気がなく、先がぼんやりとしか見えない

璃が何時も窓から眺める暗さでは無かった

気味の悪い暗さ・・・

それでも璃は気に留めず、一分でも早く家に着くために足を動かした

あと少し、あと3つほど角を曲がれば家に着く程の距離になった時、

ドンッ

「Σうおっ」「っ!」

不意に誰かとぶつかった

咄嗟に璃は手を伸ばして倒れそうになった相手の腕を掴んだ

その掴んだ腕は細かった

相手は身体がビクッと跳ねると璃の手を払いのけた

そして、璃をチラッと見るて慌てたように頭を下げる

「う、あ、ご、ごめんなさい!!」

よく見ると相手は紺色のキャスケットを被り、格好は少年の様にしているが声が少女の様な子供だった

「あ、いや、別にいいけどさ・・・。」

「本当にごめんなさい!!お怪我はありませんか?!」

「あー、怪我はねぇからさ、頭上げろよ」

そう言うと頭を上げた相手と目があった

金色に縦気味に割れた瞳孔の目

璃はその目に少しの間、見惚れていた

ガシッ

「Σおわっ」

子供は急に璃の手を勢いよく掴んできた

そして、意気込んだかの様に口を開いた

「おおお願い、わたしを、わたしを助けて・・・・!!!」

ガシャーンッ


(子供の科白が言い終わると共に少し離れた所で何かが壊れる音がした)
(それは実物の破壊音か、)


何か面倒な事に巻き込まれる事

(はたまた、)
(決められていた運命の開始音か・・・)
(「(うわー何か面倒くせー事になったな)」)




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