未定

□未定02
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「おいおい、急に助けてって言われてもさぁ困るんだけど・・・」

璃は困った様に眉をひそめて言う


未定02つ


子供はその答えが“分かっていた”かの様に後ろを気にしながら言葉を紡ぐ

「め、迷惑なのは分かってますッ。だけど、だけどあなたはきっと、いや絶対わたしを助けてくれるからッ」

「だぁからー、困るって言っ「来た」は?」

ガシャァァンッ

突然璃の言葉が子供に遮られると同時に現在地から二つ程離れたビルが崩れ落ちた

辺りにはその崩れ落ちる音が響く

子供は何時の間にか璃の後ろに回ってへばりついていた

「ちょ、何くっついてんだよ。てか、あれなんだよ。何でビルが崩れるんだよ」

璃は子供を離そうとしながら目の前で高いビルが崩れるのを見て焦る

チラリと璃は子供を見ると少しだけカタカタと震えていた

「フフふ・・・やァ〜っと追い詰めマシたよ、ワ・ン・ちゃんww」

暗く、深い闇に侵食された路地から不意に中性的な高さの声が聞こえた

璃の体には今だに子供がしがみついており動けず、顔だけを聞こえた方へ振り返る

そこには璃よりも背が高く、上着の裾の長い白いスーツを着て白いシルクハットを目まで深く被っている男か女か分からない人物がいた

服装が白い人は一度手を振り下ろすと隣に建っていたビルは縦に切れて崩れていった

そして、その人物は璃を見ると驚いた様に口を開いた

「オや、何故ココに一般人が迷イ込んで居るのデショうかね。ダぁれも入れナイヨうにしていタノに・・・」

不思議ダフシギだ、と言いながら一歩ずつ璃の方に近寄ってくる

その度に璃は無言のままの子供に力強く服を引っ張られて後ろに後退していく

「あんた誰だよ。それから、あんま服ひっぱんな、のびるだろ。」

璃は物怖じせずに言う

その様子に白い人は面白そうに口を歪める

そして、丁寧にお辞儀をした

「初メマして、我-わたし-は岑-シン-と申しマス。所属はZD-ゼンディ-。以後オ見知りおキを。・・・我々、ZDは諸事情によリアナたの後ろにいル少女を追ッテイます。大人シクソの少女をコチラヘ渡してクダさいな」

「はぁ?ZD?何だそれ。しかも、君少女だったのかよ」

「おヤ、あナタハ我が社をご存知ナイの?結構有名なんデスよ」

「・・・ヴェールーシ社、又の名をZDメーカーファクトリー。有名な会社なの」

今まで口を開かなかった子供、少女は声を絞り出す様にポツリと言う

「サスが我々に追ワレているダケがありまスネぇ。我が社の名称だけジャナく正式名称も言うナンてwwホラ、あなタノソの髪ゴムや靴、バックも我ガ社の製品なんデすヨ」

岑と名乗る人物は璃が身につけているものを指をさして示す

しかし、璃はさも興味が無いように口を開く

「へぇー、だからって何かなるのかってーの。てか、その気持ち悪い喋り方どうにかしてくんねぇ?聞いてて反吐が出るんだけど」

ピシッ――

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・何だよ、2人して“何君空気読めよKY”みたな目でこっち見やがって。マジのことなんだから仕方ねぇだろ」

今、璃には前後から白い目で見られていた

そんな璃の言葉に岑は静かに腕を上げると璃に向かって振り下ろす

ブワッッ・・ガシャァァアン

璃達の体スレスレ鋭い風が通り過ぎると背後のビルから破壊音がした

ゆっくりと璃は首をひねって後ろを確かめる

子供はさらに力を込めて背中にしがみついた

「・・・マジかよ。ビルがグッシャグシャじゃんか。これ、当たったらやばくね?・・・うん、これは当たっても痛くないんだ。何か能力は風っぽいんだしどうせ当たったって涼しいだけだよな多分てか、絶対そう思いてぇ。・・・なんてな」

「おヤオヤ、アなたハ思い込まなケレば恐ろしク感じル人なノデスか」

岑はクツクツと喉の奥で嗤う

そして、追い討ちをかける様に再び振り下ろす

まっすぐに璃を狙って

「ちょ、マジかよ?!」

璃は焦った様に言葉を発した、が

フワ・・・

「?!」

能力を使用した岑は豆鉄砲を喰らった鳩の様な顔をした

岑の能力は風で切り裂くことだ

しかしその風はただ、璃達を優しく包んだだけだった

「ふぃー、良かった良かった。今回は正常に発動してくれて」

璃はニヤリと口角を上げ、一つもかいていない汗を拭った

「あナた、何ノ能力何でスカ・・・?」

「あ゛?誰が教えるか。今から家に帰んだよ。邪魔すんな。てか、手ぇ離せよいい加減に」

少女は首を横に振る

璃はそれでも何度も“離せ”言うが、答えず首を横に振るだけ

ついに璃は諦めた様に溜息を吐く

「もう分かったから、君を助けるから離せってマジで。離してくんねぇと助けもできねぇよ」

「・・・本当に、わたしを助けてくれるの?」

「マジマジ、マジだから服離せ。せめて握んなら手にしてくれよ」

少女はその言葉を聞くと大人しく服を離して手を握った

「と言うことだから、じゃ」

「逃がシマセんよ」

岑は再び能力を発動するが、やはり璃に届くまでに微風程度の威力になってしまう

「無駄だって。今は正常に発動してんだから。そんじゃぁ、さよーなら。今から嬢ちゃんと一緒に誰にも知られず無傷で家に帰んから、あんたも気をつけて帰れよ。なんて、言っとくがこれは妄想じゃねぇからな」

璃は岑に空いている方の手を振って少女を連れて歩き出した

岑は何故かポカンとその後ろ姿を眺めていた

「・・・あァ、思わず逃ガシてしまいマシタカ。我は何をしテイルノデショうかねぇ。・・・・それヨリ怒られルデショウか」


(眺めていた先はもう闇の中)
(目を凝らしても)


変な組織に絡まれた事

(行方は知れず・・・)
(「減給とクビだケハ嫌デスネぇ」)







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