名前なんて決められないッ!

□にーい
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「ヒビキ!お前、ハンター試験を受けろ!!!」



ここに来て12年、今だに帰れない俺の父親だと言うクジナさんが突然?・・・うん、呼び出されて「組み手するぞ!!」とか言われて森の開けた場所で組み手してたら急に言い出したから突然だよな。



まぁ、突然言い出したからつい驚いて、突き出した拳がクジナさんの顔面ギリギリでピタリと止まってしまった。



ガッ



クジナさんは止まった俺を蹴り飛ばして、俺は木に叩きつけられた。



「〜〜ッテェ!!!」



蹴られた腹はいつもより痛く、ジクジクと痛む。



「あーぁ。気ぃ抜くからそうなるんだよ。ほら、立てっかヒビキ?」



俺はそう言うクジナさんの差し出した手に捕まって立った。



「痛い。チョー痛い。めっちゃ痛い。あり得ないほど痛い。」



「すまんな。だからそんなに睨むなって。お前は上達が早いから俺が手加減してたら危ないくらいなんだ。さすが俺達の子だな!!」



へー、だから今さっきのは今まで以上に痛かったんだー。



じーっとクジナさんを睨んで居たらなぜか知らないけど、満面の笑みで頭をぐしゃりなでられた。



俺はその手を避けながら言った。



「・・・まぁね。てか、ハンター試験って何?」



「ハンターに成るための試験に決まってるだろ。もうそろそろいいかなと思ってな。詳しくは家で。ってことで、家まで競争な!!」



「は?ちょ、待てよ!!おいって!!!」



俺は既に遠ざかって行く背中に呼び掛けながら必死に追いかけて行った。



〜〜〜
〜〜

クジナさんの背中を見失ってちょっとして俺は家に着いた。



家は森の中にポツンと建っている。



まだ腹が痛い。



・・・絶対青アザになってるよ。



どうやって手当てしようかと考えながら俺はドアノブに手を掛けた。



ガチャ



「ただいムギュ!!!」



「ヒビキ〜!ハンター試験受けるんだってね!!私、嬉しいよ!!!」



ドアを少し開けた瞬間俺は抱き付かれた。



顔には柔らかなものが押し付けられている。



最初は脱け出すために抵抗するが、段々と抱き付く力が強くなって俺が限界に近づいていった。



・・・あ、俺死ぬ。



「Σちょ、ラ、ライ!!ヒビキ顔真っ青だから!!!マジでぐったりして来たから!!!」



バッ ゴホッゴホッ



「あっごめーん!!ヒビキ、生きてる?」



顔に押し付けられて息が出来ないでいるとクジナさんが助けてくれた。



「ハァハァ・・・た、助かった(泣)クジナさん、ありがとう。」



一瞬、死んだペットのタマって言う名前の犬が川の向こうで尻尾振って待てしてるの見えちゃったよ・・・



あの川が三途の川だったのかな(遠い目)



「おう。・・・大丈夫か、ヒビキ?」



俺は小さく頷きながら呼吸を整えていた。



「クジナ〜ヒビキ〜あったよ〜!!」



いつの間にか部屋からいなくなっていたクジナさんと同じく母親だと言うライさんが何かを持ってきた。



「あー、それか!!ライ、この日のために頑張ってたもんな!!!」



「そう!頑張って一からしたんだよ!!ほら、ヒビキ開けてみて!!!」



そう言ってライさんが結構大きい箱を二つ差し出してきた。



俺はその一つを側に寄せて箱を開けた。



箱の中は黒一色だった。



否、黒は黒でもそれぞれ少しずつ違う色の黒だ。



俺はそっと中に入っているものを取り出した。



フード付きで袖が長く広がっているロングコート。



それは他の黒より深く暗い色をした。



例えるとしたら、漆黒の決して終わりの見えない闇だ。



俺はその色に一瞬に目を惹かれた。



「ふふ、気に入ったの?ヒビキ。」



しばらくそのコートを見つめていたらライさんが声をかけてきた。



俺は肯定する様に微笑んで頷いた。



「あー、それってライが一番丁寧にやってたやつだな。それ作るのにライは4ヶ月ぐらい徹夜して顔やばkΣ!?」



ズバーンッ



「失礼ね。他のは丁寧にやってないみたいに言わないでよね。ちゃんと全部お蚕さん飼うところからしましたよーだ。」



・・・Σそこからぁあーー?!!



一からって糸もできてないとこからかよ!!!



「本当は糸の元はお蚕さんだけどそこも私だけで作りたかったのに。」



Σなんかぶっちゃけたー!!!



てか、繭まで自分で作りたかったのかよ!!



にしてもライさん、はたく時ズバーンッって良い音なってたな・・・。



・・・え?ズバーンッ?



「ちょ、ライさん!!クジナさんが白目むいてるんだけど?!」



「・・・・あ、思いっきりはたいちゃった☆」



「Σどんだけ威力強いんだ?!」



しかも、無自覚だと?!!



一回クジナさん、普通のクマより大き過ぎるクマにはたかれても傷一つなかったのに・・・!!!



なに?!俺<クマ<クジナさん<ライさんの順番に強いの?!



あ、俺いっちゃんヨエーな、おい!!



しかし、あのクマに勝てるわけないだろ!!



余裕に5m越してたし!!!



あんなの俺はクマだと認めないぞ!!!!



あんなに可愛い顔してたのに恐ろしいほど凶暴だなんてっ!!!(泣)(とてもキュルンとした顔のクマでした)



Σハッ?!



話がずれてた!!



俺は自分の思考回路を正常に戻してクジナさんの胸ぐらを掴み上げて前後に揺すった。



「クジナさん!!クジナさん!!起きろよ!!クジナさん!!」



返事は無い



ただの屍のy(勝手に殺すなぁぁあ!!!)



俺はふと脳内に浮かんだドラ●エみたいなテロップを振り払い必死になってクジナさんを揺すった。



「ちょっと!!ヒビキ、そんなに激しく揺すったらクジナが本当に天に召されちゃうってば!!!」



「Σハッ?!確かに!!」



俺はライさんの制止の声でクジナさんを前後に揺するのをやめた。



「もう、クジナったら!!ヒビキ、クジナなんて無視して次の見ていいわよ!!!あ、私、サイズが見たいからやっぱりそれに着替えてきてくれる?」



俺はそれに小さく肯定したがまだクジナさんの事が心配になってチラチラとクジナさんとドア見てその場に立っていた。



そんな俺にライさんは優しく微笑んだのがなんだか恥ずかしくなってさっさとその部屋から出ていった。



俺に与えられていた部屋に着くと早速中に入っている物を出していった。



少しダボっとした長袖のシャツにズボン、ベルト、靴。



一番下に入っていた白いベルト以外全て黒で着たら俺、不審者じゃね・・・と思いながらも着ていった。



あ、コート置いてきた。



・・・ま、いっか←



俺は着替え終わって、ライさん達がいる部屋に戻っていった。



「うん、よかった〜!サイズがピッタリより大きめで!!!」



ライさんは部屋に入った俺の姿をみて満足そうに頷いた。



「だから少しダボッてしてるのかよ。てか、ほとんど黒って・・・(汗)」



「ふふ、黒ってカッコいいでしょ?それにヒビキにはサラシを巻いてその上から包帯を首までしてもらうから黒と白でちょうどいいの!!そうね〜、今からしてあげるよ!!!」



ガバァッ



そう言ってライさんは何時の間にか俺の背後に回って勢いよく俺が着ているシャツと下着ごと一緒に脱がした。



俺はその衝撃で脱がされた格好のまま固まってしまった。(脱がされた格好=ばんざいの姿)



「・・・うおぉ//!!!ちょ、え//?サラシ巻くの?しかも今からぁ?!」



「あったり前じゃない!!」



・・・当たり前って言われたよ。



いい加減あんた等の当たり前は異常だって気がついてくれないかなー(涙)



ライさんはその間にも黙々とサラシを巻いていった。



この時点で俺は悟りの境地に入っていた←



「別にサラシ巻かなくてもいいじゃん。」



「ダメよ!!!ヒビキに悪い虫が付いたらどうするのよ!!!!それの予防よ!!!!!」



・・・悪い虫って男?



「は?!あり得ないって、俺に男なんて!!てか、この俺の年齢で手ぇ出したら捕まるじゃん!!!マジであり得ないって!!!てか、ライさん!!!サラシがキツイって!!!!」



「そうね!捕まって死刑、又は無期懲役ね!!いや、やっぱり死刑だけよ!!!即死刑!!!だ・か・ら、するの!!!!付いてからは遅いの!!!!」



「Σ罰重っ!!!!」



しかもキツイって言ってるのにスルーか?!スルーなのか?!!



ちょっと、足!!!



足を使って締めんなよ!!!!



・・・Σしかも、遠回しに俺に手ぇ出す奴はいるって言われた?!!!



「そうそう、後悔すんのは俺等だしな。」



「後悔すんのはあんた等かよ!?Σって、うぉおおい!!!?いつの間に復活したんだよ、クジナさん!!!」



Σしかも何気に巻き終わって服きてるし?!



・・・あれ?ベルトがない?



「今さっきだけど。てか、ヒビキの反応って受けるな(笑)」



俺はなんだかムッときて頬を膨らませてそっぽを向いた。



「だから、そう言うのが受けるんだよ(爆笑)」



クジナさんはそう言いながら俺の頬を突いてきた。



俺はその指を噛もうとしたが、すかさず引っ込められた。



「ちょっとクジナ!!あんまりヒビキをからかっちゃダメよ!!!それに、受けるんじゃなくて可愛いのよ!!!」



ズバーンッ!!



・・・そして、今度こそクジナさんは星となった(見ないフリ)






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