名前なんて決められないッ!

□しーち
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今、俺は変な、否、恐ろしいピエロに絡まれている。



「…どうしてこうなった。」



…うん、ちょっと過去を振り返ってみようか俺。



まず、魚をやっとの事手に入れたのに使えずに試験が終わっちまってめっちゃショック受けただろ。



そこで会長らしいジイさんが降ってきて合格者0はひでぇからって、救済措置でめちゃくちゃ美味い卵とってちゃんと合格できただろ。



…卵とって上に戻る時、勢いあまって糸からビョーンって壁に跳ばされた時は一瞬死ぬかと思ったけどな!!



そん時の下に落ちたヤツにワリィ事したな…いやあれは不可抗力の事故だったんだ!!



俺は悪くない!!!



…まぁ、そこでゴン君達と合流して、一緒に飛行船に乗ってジイさんの話聞いただろ。



それからゴン君に船内探検に誘われたけど、一日の汚れ落とす為にシャワー浴びたくて断っただろ。



そんでそこからご飯とか便所とかいって、さぁシャワー室探すか!ってとこでピエロが登場。



で、今に至る。



うん、ホント俺何で絡まれてんだろ。



しかも、俺見て舌舐めずりしたヤツだし(涙)



…確かこのピエロってヒソカってハンゾーが言ってたよな。



そのヒソカさんってば何で俺の腕をガッチリ掴んでんだ?!



ホント、誰か助けて!!!



そのせいで鳥肌が立って仕方ねぇんだけど!!!



「もう考え事は終わったかい



俺は今まで黙ってたのに急に話しかけられ、少しだけ小さく身体が跳ねた。



が、俺は出来るだけ平静を装って口を開いた。



「…あの、とりあえず、手ェ離してくれません?」



「ん〜、離したら逃げそうだからヤ・ダ



「いや、ヤダじゃなくてホントまじで離してくださいよ。ホンット話すにしろ何するにしろジャマなんですよ。だからまじでホントまじで離してくださいお願いします。」



「何ってなんだい?」



「…え?何って何に決まってるじゃないですか。歩いたり動いたりとか…」



てか、それ以外になんかあるような言い方だな!!



「とりあえず、逃げないんで離してください!」



「…ま、イイヨ



やっと手を離された俺はさりげなく距離をとって腕をさすった。



あ゛ー、離れたのに鳥肌がおさまんねぇ!



やっぱ、値踏みにされてんようなネットリした視線のせいか?!そのせいだろ?!



クッソ、あん時目ぇ合わなかったらこんな思いせずにきっと俺の事だから何コイツきめぇぐらいしか思わなかっただろうに!!!←



あーもう、早くこの場から離れてぇ!!



助けて珠香さーーん!!!



……あ、



「もしかして、お面に刺さったヤツ取りにきたんですか?それなら返すんでもう行ってイイですか?イイですよね?」



俺はそう言いながら袖を漁ってトランプを取り出し、ヒソカさんに渡してシャワー室を探しに行こうとした。



が、それはヒソカさんに腕を掴まれて失敗に終わった。



ヒソカさんは面白そうにトランプを透かして見ている。



…ちょ、え、まだ行っちゃいけねぇの?!



てか、せっかく手ェ離してもらったのに何また掴まれてんだよ俺orz



治りかけてたチキンがまた再発しちまったじゃねぇかよぉお!!!



ホント何コイツ、早く用件済ましてくれよ!!



俺の心の中はもうヤケクソになっていた。



「これは確かにボクのだけど…お面に、ねぇ



「そう!もう思いっきり額んとこにスコーンッて刺さって痛かったんですよッ!」



「ないよ、その傷



「そう!ないんです…って、え?」



俺はおもわず額に手をやった。



そこには塗料と素材との凹凸しかなかった。



Σえ?ない?!傷がない?!



は?!何でねぇんだよ!!



『魔法かけてるから傷つけても治る様になってるからな。』



…あぁ、クジナさんのせいか。



「あの、それ、魔法のせいです。それなんで、気にしないでください。」



「…魔法、かなぁんだ、残念念を知らないのか



ヒソカさんは残念そうに言った。



「え?念?」



なんだそりゃ?



ヒソカさんは俺の疑問に答える気はないらしく、そのまま言葉を続ける。



「“狐”に子供がいるなんて知らなかったけど、そのお面って“狐”のだろう?だからてっきりボクは念能力者かと思ったのにホォント残念だ



そこまで言うと、ヒソカさんは急に顔を近づけてきた。



「Σヒッ」



Σうっわ、顔ちょっと赤らめんなよきっしょッ!!の以前に顔近づけんなよバカヤロー!!思わず声が引きつっちまったじゃねぇかよ!!



俺がそんな事を思っているなんて分かるはずもなく、ヒソカさんはまだ言葉を続ける。



「でも、キミってばとってもおいしそうだから合格これからもボクの為に成長してね、じゃ



そう言って、ヒソカさんは俺を置いて何処かへ行ってしまった。



「…言いたい事だけ言って行きやがったあのピエロ。念って何なんだよ。…うぁ〜、全身が鳥肌になってるようで気持ち悪りぃよー(涙)」



俺はすこし否、かなり腑に落ちなかったが、シャワー室捜索を再開させた。



てか、結局言いたいこと言うだけで何がしたかったんだろ?



お面見て狐ってクジナさんの仕事ん時の名前だろ?



え?てことはピエロってクジナさんの仕事関係のヤツかよ。



うわぁ、ピエロに絡まれたのってクジナさんのせいかよ…………クジナさんなんて爆発しろ!!!!!



てか、ピエロ俺のことおいしそうとか言ってなかったか?!



うっわ、やめてよキモチワルッ!!!








〜〜〜〜
〜〜



「ふっは〜、めっちゃスッキリしたぁ〜!てか、あっちぃ。長風呂ならぬ長シャワーし過ぎたかなぁ?」



俺はお面とコートを小脇に抱え、電気のついていないくらい廊下を独り歩いていた。



あの後、なんにもなく無事にシャワー室を発見して一日の汗を流した。



というか、ここらへんの電気シャワー浴びるまえに俺が消したんだけどな(笑)



だって真っ暗んなかに月の光が入ってくるって風情あるじゃん?



「てか、スッキリしたけどなんかシャワーじゃ物足りなく感じんだよな…やっぱ風呂に入りてぇ。」



ふと、俺は立ち止まり、空にぷかりと佇む月を見上げた。



ひとつ、溜息がもれる。



「珠香さんに会いたいな…」



あぁ、珠香さんがいないと俺は挫けそうだ。



どれだけ珠香さんに依存してたか丸分かりだな…



今じゃ、これだけが珠香さんとの繋がり。



俺は軽くネックレスのトップを握りしめた。



でも、これはライさんが持っていたから本当に俺のだったのか分からない…



「なんて、わざわざ何で自分の首絞めるような事考えてんだろ…」



俺は小さく自嘲した。



「あーあ!もう暗いのヤメヤメ!珠香さんにはその内会える!それまでガマンだ俺!」



俺はそう言いきって暗い廊下を一気に通り抜け、角を曲がった。











「……これってなんて大惨事?」



うっわ、バラバラ血塗れ死体が2体…



Σしかも、空気が生ぬるりぃから出来たてほやほやかよッ?!



「てか、え?どうやってここ通れと?!」



いや、避けて通るけどさ!!



…とりあえず、手ェ合わしとこ。



俺はご愁傷様と手を合わして血を踏まないように飛び越えて行った。



え?てかなんであんなのあんの?!



誰だよあんな風に仕上げたヤツ!!



あの人達が可哀想だし俺が迷惑だからちゃんと片付けろよ!!←



てか、廊下に点々と血痕が…



辿ってったら犯人が分かるかな?



よっし、辿ってみるか!



こうして、俺は好奇心でその後を辿って行った。



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