名前なんて決められないッ!
□はーち
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「ここはトリックタワーと呼ばれる塔のてっぺんです。ここが三次試験のスタート地点になります。」
ボケー…
「試験官の伝言です。
生きて、下まで降りてくること。」
ボケー…
「それではスタート!!!頑張って下さいね。」
ボケー…
「…なぁゴン、ヒビキ。ちょっと端まで行って下をのぞいてみようぜ!」
「うん!」
「…あー、ん。」
元気良く返事をするゴン君に対して、俺は生返事をすると、ゆるゆると前を行く2人の背中を追った。
…眠い、
めっちゃ眠い…
昨日は二度寝する程ちゃんと寝たのに…
なんでこんなに眠いんだよ…!
…夢見が悪かったせいか?
…たしか、珠香さんが木刀振り回してなんかよく分かんねぇ呪文らしきもんを唱えながら追いかけて来た夢…だったら夢見悪い部類に入るに決まってんな…
あぁ、珠香さんに夢で会えることは嬉しいけどよ、もう少し自重してくれねぇかなウソですごめんなさいもっと夢に出てきてくださいお願いします。(土下座)
ドンッ
「Σうぉ?!っっととと…」
心の中で土下座していた時に急に強く肩に誰かとぶつかり、反射的に手をついて尻餅未遂となった。
驚いたせいか、俺の心臓はバクバクと忙[せわ]しなく動き、イヤな汗が身体中から噴き出した。
俺の手はもうべっちょりだ。
「ちょ…あっぶねぇ(汗)」
チラ
「チッ」
相手は俺をチラリと見て舌打ちし、そのまま何もなかったかの様に立ち去った。
…なんだあのおっさん!!(怒)
俺にぶつかっておいて謝りもせず、しかも俺見て舌打ちしやがって…!!!
めっちゃ失礼だなあのヤロー!!
こっちはな、あの一瞬でブワッとなんか変な汗出たんだぞ!!
マジ尻餅つくかと思ってめっちゃ焦ったんだぞ!!
てか、尻餅での怪我って意外に多いだぜ!!
手ェついた時に手首骨折とか倒れる時に足を捻挫とか、尻ついた時に尾骨強打で打撲とかできての痛みとかはれとか!!!
Σって?!そういや、俺って今尻餅つく寸前に手ェついちまったよな?!!
…ま、俺だから大丈夫か。←
てか、ゴン君もキルア君も気づかずにさっさと先行っちまうって、俺に泣けって?泣けって事か?!(涙)
君らSですか?!ドのつくSなんですか?!
残念!!俺はそんなんで悦[よろこ]ぶ属性じゃねぇんよ!!(涙)
俺は涙目になりながら、地に着いた手を思いっきり押して立ち上がった。
おぉ、クララ…クララが立った!!!←
…………
……いや、なんでも無いです、この事は頭から完全消滅させてください。お願いします、マジで。
てか、いつまでもこうしてねぇでゴン君達んとこ行こ。
俺は歩き出そうと思って足を上げると、少しふらついて後ろに足を踏み込んだ。
ガコン
「Σッ?!」 ゴッ!
ドサ
「?あれ?」
「ん?どうかしたか、ゴン。」
ふと立ち止まって後ろを振り返ったゴンは首を傾[かし]げていた。
「ヒビキってば何処行ったんだろ?」
「…さぁね。そこらへんのヤツらに紛れてんじゃない?」
〜〜〜〜〜
〜〜〜
「〜〜〜ッッてぇぇえ!!!」
俺は一人、急に落っこちた部屋の床で蹲[うずくま]っていた。
そして、立ち上がりもせずにジンジンと鈍く痛む後頭部を抱え、悶絶していた。
どうやら俺は落ちる時に板の端で後頭部をぶつけたらしい。
ぅぅうぬぉぉおお!!(涙)
めっちゃいっってぇええ!!!(泣)
ちょ、何故にこうなった?!
俺、なんか悪い事でもした?!したのか?!
そういやなんか最近の俺って不憫じゃね?!かわいそくね?!
てか、だいぶ前から目ぇ醒めてたけど、さらにお目々パッチリになったわ!!!
醒めすぎてバッチバチだぜ!!!(涙)
あと、人間ってマジでガチで驚くと声も出ねぇんだな!!!
いらなかったけど、身をもって知ったぜ!!!
「…てか、まじいてぇ(泣)」
痛みがだいぶ和らいだ俺は涙声で呟き、頭をさすりながら起きあがった。
『……あー、おほん…大丈夫かね?』
「Σへ?!」
急に聞こえた声に俺は慌てて辺りを見渡した。
…Σえ?!ここ、どこ?!
…あっ、そういや床から落ちたから塔の中か!
「…あ、えっと…だいじょばないです…」
壁にスピーカーを見つけた俺はとりあえずまだ地味に痛い頭をさすりながら返事した。
『…まぁ、いい。そこにあるタイマーを着けたまえ。』
…なんか上から目線だな。
なんかムカつく。
てか、自分から聞いといてまぁいいってひどくねぇ?!
てか、何だよその返事の間は!!
普通、そこはどっちだよ!!ってツッコむのがセオリーじゃねぇの?!←
俺は心の中で文句を垂れながら言われた通り、腕にタイマーを着けた。
『着けたな。では、このタワーには幾通りものルートが用意されており、それぞれクリア条件が異なるのだ。そこは最短の道。名の通り、他のルートより下への道のりは最も短い。だが、そこで待ち受けている試練は易しいとは限らないので期待は捨てたがいい。それでは、健闘を祈る。』
放送が終わると同時に、後ろの壁から扉が表れた。
「……最短の道、か。」
…なんか最近、俺って不幸なのか幸運なのか、全然分かんねぇなおい。
…Σてか、上にゴン君たち置いて来ちまった!!
てか、俺がいないコトにゴン君たちが気がついてるかどうかすら怪しいんだけどさ!!
「…ま、いっか!落ちちまったもんは仕方ねぇし、進んじまおうっと。」
俺は意気込んで扉を開けた。
ガチャ …バタン
「……あっれぇ?気のせいかなぁ?通路が真っ暗闇だった様に見えたんだけど、俺の気のせいだよな〜。それか試験官かこの塔の管理人の電気つけ忘れとかだよな。うん、そうだそうだ。そうだに決まってらぁ。あ、なんか今もの凄くソーダ飲みたい←」
俺はグダグダ言いながら、もう一度扉を開けて閉め、また開け直した。
やはり何度開け閉めしても見える光景は一切変わらなかった。
「………………チクショウ!!俺の開け閉めしたら電気付いてるかもしんねぇっていう淡い期待を裏切りやがって!!やっぱ暗闇の中を歩いてけってことかよ!(涙)だけど、それにしてはこれはヒデェよ!もうこれは暗闇とかいうレベルの暗さじゃねぇよ!もうマジのガチで漆黒の何ちゃらって比喩じゃねぇよ!もうそのまんまだよ!!もう、絶望した…!!!」orz
俺は床に手をついて嘆いた。
…べ、別に某先生のネタじゃねぇんだから!じゃねぇんだからな!!
………
「…はぁ、ホント…何してんだろ、俺。」
ふと我に返った俺は、ついた手をはたきながら立ち上がり、もう一つ、重い息を吐いた。
「マジぼっちツライ…」
一歩、暗い暗い空間へと足を踏み込んだ。
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