*その他*

□探していたもの
3ページ/4ページ

――…

いったいどのくらいあのままだったのか…。
眠たかっただろうに、ロイドは俺様が落ち着くまでずっと付き合ってくれた。

そして、現在に至る。

「…はぁ?まじかよ」

「悪いっ!ゼロス」

結局、俺様を探しにきたロイドくん共々迷子になってしまったみたいだ。
しかし目の前で必死に手を合わせる彼を見て、怒る気にもなれない。

仕方ないから、二人身を寄せあって寝ることにした。

手頃な大木に背を預け、二人並んで腰を下ろす。

「なぁ…ロイドくん」
「どうした?ゼロス」

ふいに手に感じた温もり。

―何処かで探してた…こんな温もりを

俺様は、それをしっかり握りしめた。
「なんで…探しに来てくれたんだ?」

「そんなの、当たり前だろ?ゼロスのことが心配だったからだよ」

ロイドは、いつも俺様の欲しい言葉をくれる。

「でっひゃひゃ、俺様ってば愛され…っ!」

って、え……?

顎を掴まれたかと思うと降ってきた唇に触れる柔らかい感触に、思考を持っていかれる。

「ロ、ロイドくん!?」

一気に熱が上がった。

「愛してるよ、ゼロス。言い表せれないぐらい」

その言葉に、さらに顔の熱は赤くなる。
幸いにも、今が夜でよかった。

そんなことを考えていると、再び唇を塞がれる。
今度は、長く、深く。

「ふっ…ん…ロイ、ド…」

「ゼロス…」

クチュっ…

閑な森に厭らしい音がやけに響く。
恐らく初めてだったのだろう。
こわごわと侵入してきたロイドの舌を絡めとってやる。

「はっ…ぁ…いつか、フラノールでお前に話したこと…覚えてるか?」

そしてどちらともなく離れた。
二人の間を銀糸が紡ぐ。

「…もちろん、はぁ…覚えてる、ぜ」

その先を言うのを一瞬躊躇ったが、ロイドの温もりに勇気をもらった。

「俺様、生きてていいんだよな…」

「…ばかやろう」

ロイドはそう言うと、もう一度俺様を抱き締めた。
強く、絶対に離さないように…。

それに俺様は身を委ねる。


―あんたが、見つけてくれたんだ。


「ありがとな、ロイド」


―俺様の本当の姿を






END
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ