*その他*
□探していたもの
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ヒュオー…
少し拓けた森のなか。
気づけば、辺りは朱に包まれていた。
ザワザワ…
闇に包まれた深緑を駆ける風の音。
「はぁ…はっ……」
それに交えて聴こえるのは、己の不規則な呼吸音。
激しく肩を上下させていると、次第に乱れた呼吸が収まっていくのが分かった。
それと同時に、朦朧とした意識もはっきりとしてくる。
「な、んだよ…これ……」
目だけで景色を這っていく。
どこを見ても…あか…アカ…朱……
自分の嫌いな色。
ぎゅっ、と思わず目を閉じる。
今度、脳裏に浮かぶのは、遠い記憶。
白を染めあげる朱…
我が子へ向けられる冷たい視線…
そして放たれる言葉…
『お前なんて…』
言うな!聞きたくなんかない…!
…嫌だ、やめてくれ!
「うわぁぁあああ!!!」