記念物・お題

□取られたくない
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走る

だたまっすぐに

ゴールを目指して

走る

「はぁっ!はぁっ!!」
「おー、いいぞ。新記録だ。」

顧問の玄田は笑いながら言う
左手の薬指には指輪が光る。

―そう言えば、去年結婚したんだったな

そう思うながら柴崎からタオルを受け取る

「次ぃ!笠原ぁ!」
「はい!!」

笠原がスタートに立つ
目は真剣そのものだ。

パァン!

その音と共に走り出す。

―あぁ、輝いてるな

そんな笠原が好きだ

走っている時の笠原が一番、好きだ

―なんて本人に言えたらな

そんなことを思っていると笠原がうれしそうにこっちに来た。

「どうした?」
「出ました!!!!」

嬉しそうに抱きついてきて、固まった
それを見た柴崎は笑い、手塚は固まった。

「お、おい!」
「ホント、嬉しい!!!」
「…」

―俺の気も知らないで

なんて言えるはずもなく、俺はそのまま頭を撫でた。

「よかったな?」
「はい!!!!」

―あぁ

もう

ホントに可愛い

――――――ー

部活帰り

先に行く笠原を見つけた。

―一人で帰るのか?

疑問に思い、暫く見ていたが、笠原はそこから動かなかった。

―…何してんだ?

最近、笠原の行動はちょっとおかしい

さっきの様に抱きついてきたり

勉強を教えてくれと教室に来たり

お礼だといって弁当を作ってきてくれたり

―これは脈があるのか?

と悩んでる俺の身にもなって欲しいのが本音だ。

「そこでなにしてる?」

俺の声に笠原は振り返った。

その顔が嬉しそうだった

「先輩、今から帰りですか?」
「あぁ、お前は」
「私もです」

―嘘付け、ずっとそこにいただろう

なんて言えるはずも無く俺は別の言葉を言う。

「一緒に帰るか?」
「はい!」

俺より高い彼女は隣を歩く。
その歩調の俺は合わせる。

「せ、先輩?」
「なんだ?」

無言でお互いに歩いていた
すると、笠原が声を掛けてきた。

「あの、先輩って彼女、とか」

―…これはもう、答えか

なんて思いながら俺は

「いない」

といった

そしたらやつは安心したような表情になる

―…仕掛けるか、もういいだろう

そう思った俺は足を止めた
それに驚いた笠原は「先輩?」なんて言って首を傾げた。

「お前は?」
「え?」
「彼氏、いるのか?」
「そ、そんな人!」
「なら、俺は?」
「……………え?」
「俺は嫌か?」

優しい笑顔を浮かべて聞けば
「狡い」っていって真っ赤になる笠原。

「笠原?」
「っ…や、じゃないです!!」

その言葉に笑みを深くし、笠原の手を取った。

「え、?!」
「行くぞ、郁」
「っ?!は、はい」

真っ赤になる笠原を引っ張って俺は笠原
を家まで届ける。

これからが

楽しみだな、郁?

なんて思いながら


end
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