記念物・お題

□復活企画小説5
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好きなの


今まであった男よりも


誰よりも


好き過ぎて、周りが見えなくなる時があるくらい


あんたが思っている以上に





「はぁ」

口を開けばため息しか出ない。

分かっている。

光がモテることなんて。

なのに少し気にしてる私はなんだ。

私だってモテないわけじゃないのだ。

でも、それでも

「気になるわよね」

そう呟きながら本を確認していく。

そんな柴崎の耳に入ってきたのは

「ついてくるな」
「えー!だって手塚君、一緒に食べてくれないからぁ」

光の苛立ちの声と、ぶりっ子の女の声だった。

思わず振り返って見ればそこには

光の腕に手を回して体を密着させている女が映った。

「……は?」

思わず声が出れば、その方向に光が目を向け固まった。

その隣の女もだ

「あ、麻子」
「先輩」

焦ったかのように離そうとする光に女は力を入れてしがみついた。

―あぁ

―こいつ、殴りたい

そう思う自分に思わず笑いが出そうになるが堪え、二人を見つめた。

「麻子、これは「別に弁解なんてしなくていいわ」

思った以上に冷たい声に光以上に驚いた。

―そうか、怒ってるのか

簡単に自分以外の女に触れさせるこの男に対して。

「…麻子」
「あんたは、耐えれるのね。そうやって私じゃない女が触れても」
「ちが「私は耐えれないのにあんたは耐えれるのね。」
「あさ「悪いけど、今話したくない。」

確認した本をまとめ、手にすると困惑顔の光が目の前にいた。

「ごめん、今は、傍にいたくないわ」
「!麻子、」
「今夜までにはいつものように戻るわ」

そう言って私は


光から

この怒りから逃げた。
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