記念物・お題

□復活企画小説7
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―痛い

その言葉しか出てこない。

でもこの痛さが貴方に付けられた傷なら

愛おしく思う私は

おかしいのだろうか


―――――

「ようやくしたの?」

柴崎の呆れ返った声に思わずうっと顔を伏せてしまった、

「長かったわねー、あんたたち」
「う、うるさい!」
「ま、大事にさせてんじゃない?」

その言葉に赤くなりながらも思わず笑みを零せば、「あーあ!」っと叫ばれる始末。

「今日も会うんでしょう?」
「う、うん、今日はだって」
「教官の誕生日だっけ?」
「う、ん」
「まぁた、抱かれんじゃない?」
「っ、し、柴崎!!」
「もう、手塚誘って飲みに行こうかしら」
「え」
「強いお酒が飲みたいー!!!」
「し、柴崎!」

思わず声を上げると柴崎は、呆れた表情から少し羨ましそうな表情に変わった。

「…柴崎?」
「よかったわね、笠原。あんた、幸せそう」
「…うん、」
「ほら、さっさと行きなさい。」
「…柴崎?」
「もう時間じゃないの?」
「…う、ん、行ってきます」

柴崎の表情を気にしながらも郁は部屋を後にした。
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