記念物・お題

□復活企画小説7
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「郁」

駅に迎えば、コートを着た堂上が立っていた。

「お疲れ様です!」
「お疲れ」
「あ、待たせてすみません、寒かったですよね」
「郁」
「は、はい!」
「敬語」
「ぁ…ごめん」

クスクス笑いながら堂上は郁の頭を撫で回すとそのまま右手を繋いだ。

「行くぞ」
「あ、うん!」

髪を直しながらも郁は嬉しそうに、堂上の後について行った。


―――――

「んー!美味しい!」
「それは良かった。」

郁の表情を見ながら、堂上は満足そうに箸を動かし始めた。

「あ、篤さん、これ…。つまらないものですが」
「何言ってるんだ」
「え」
「郁からもらえるならなんでも嬉しいぞ?」

堂上が嬉しそうに笑いながら言うと郁は真っ赤になって下を向いた。
そんな郁を気にしながらも堂上は開けていいか?、と聞くなり袋を開けていった。

「これは…」
「篤さんに似合うかなって思って、奮発しちゃいました」

ヘラっと郁は笑うとそれを堂上から取ると腕に巻いた。

「うん、やっぱり似合う、時計」
「…郁」
「わっ」

そのまま引き寄せられた郁は思わず声を上げるとそれに笑う堂上。

「ありがとう」
「喜んで頂けてよかったです」
「…」
「篤さん?」
「…なぁ」
「はい?」
「…欲張りになってもいいか」
「…え?」

ドサ

郁の視界が大きく変わったと同時に視界いっぱいに堂上をとらえた。

「…郁」
「…っ、」

真っ赤になって目を反らす郁を見てふっと笑みを零すと堂上はそのまま郁の首筋に顔を埋めた。

「っ、篤さ、」
「郁が欲しい」

はっきり言われた言葉に郁が更に真っ赤になるがそっと堂上の首に腕を回して頷いた。

それに堂上は嬉しそうに笑うと郁の口を塞いだ。
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