記念物・お題

□復活企画小説8
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人が行き交う駅前

いつもと違う、ふんわり系で纏めた私

気付くだろうか、なんて思いながら辺りを見渡す。

でもその中に手塚はいなくて

「……早く来すぎたかしら」

時計を見ようとふっと手首に目を向けた瞬間、目の前に影ができた。

「おねぇさん、一人ー??」
「めっちゃ可愛いですね!一緒に遊びません?!」
「……彼氏待ってるので」

そういってその場から離れようとした瞬間。背後から抱きしめられた。

「こいつに何か用か?」

その温もりに体を寄せると力強く抱きしめ直された。

「大丈夫か?」
「遅いわよ、馬鹿」
「悪い」
「ご飯、奢りね」
「…お前な」
「ワインも飲みたいわね」
「……はいはい」

クスクスわらいながら手塚に頬撫でられるとそのまま唇を奪われた。

「ん…っ、もう、光」
「さて、行くか」

そっとそのまま手塚は柴崎の腰を抱くと歩きだした。

「にしても人、多いわね」
「そうだな」
「何かイベントでもあったのかしら」
「さぁな……麻子」
「ん?」
「…その格好」
「…変、かしら?」
「いや、似合ってる」

その一言に思わず真っ赤になると手塚はそれを見て笑った。

「な、何笑ってんのよ!」
「いや、お前、ホント可愛いな」
「…は?!」
「ほら、行くぞ」
「ちょ」

昔なら

この言葉に苛立ちさえ覚えていたのに

今では

嬉しいと思う私に

私は笑った。











end
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