記念物・お題

□取られたくない
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「先輩!!」

バタバタ走ってくるのは俺の後輩、笠原だ

「これ、教えて貰えませんか?!」
「…知らん」
「え、ま、待ってください!」

俺はスタスタ図書をもって図書館から出る

が尚も追ってくる笠原

「先輩!!」
「しつこいぞ、お前」
「教え方上手いじゃないですか」
「お前みたい馬鹿、教えるだけ無駄」
「手塚みたいなこと、言わないでくださいよ!」

笠原は頬を膨らませた。

そんなこいつをみて可愛いとか思う俺は重傷だ。

「部活が終わってからな」
「!あ、ありがとうございます!」

―あぁ、もう、無邪気に笑うな

なんて言えるはずもなく俺は今日も笠原に甘いんだ。



――――――

「相変わらず甘いですねー!」

隣にきたのはマネージャーの柴崎
美人でモテるが俺には怖い女にしかみえない。

「おい、笠原、先輩にいつまで甘えてんだよ、自分で勉強しろよ」
「う、五月蝿い!!!」

その隣には後輩の手塚
呆れた様子で笠原を見ていた。

―まぁ、庇えないな

助け舟を出してやりたいが、言い返せない

「手塚、五月蝿い」
「な」
「郁が頭悪いのは仕方ないじゃない」
「あ、麻子?!」
「それに先輩に教えてもらいたいのよ、ね?」

―…どういうことだ?

柴崎の言葉に疑問を抱くが俺は荷物を纏めた。

「先輩?」
「帰る、お前らも早く帰れよ?」

教室を後にする
ホントは送ってやりたいがあいつらいる前、そんなことできない

―…はぁ

無意識にため息をつく

「ため息なんて珍しいな」

その声に隣を見れば、親友の小牧がいた。
隣には、彼女の毬江

「まぁな、帰りか?」
「毬江ちゃんの用事が終わったから」
「待たせて、ごめんなさい」
「いいよ、毬江ちゃんならいくらでも待つから」

ニコっと笑いながら言う小牧に思わず、拍手を送りたくなる

―俺にはそんなこと言えん

「じゃ、また明日な、堂上」
「あぁ」
「失礼します」

手を繋いで、仲良く帰っていく二人に俺は軽く嫉妬してしまった。

―…らしくないな

またため息一つ漏らして

家路についた。
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