記念物・お題

□お菓子くれなきゃ、悪戯するぞ?
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長い黒髪を揺らし、黒いドレスに身を包んだ魔女が現れる

魔女は妖艶な笑みを浮かべ、人間に問う

「trick or treat?」

人間は慌てて服や鞄の中を探す


だが見付からない

魔女はそれをみて笑みを深める

人間はその笑みに見惚れ固まる

「持って、ないの?」
「…ぁ、」
「………残念」

その一言を最後に




人間は消えた







trick or treat?
お菓子をくれきゃ、悪戯するぞ?








「これ、誰が作ったの」

郁はチラシを見ながら柴崎をみる
柴崎はにんまり笑いながら

「私に決まってるじゃなぁい」
「なんでちょっとホラーチックにしたのよ!」
「なーに?、もしかして、ホラー、苦手だった?」

柴崎の言葉に五月蝿い!と反論した後、再びチラシをみる

「魔女は柴崎よね」
「えぇ、周りが私以外あり得ないって」

クスクス笑いながら珈琲を飲む柴崎をみ、確かにと納得してしまう郁

「で、この人間役は?」
「もちろん光よ?」
「…………………え」
「私の相手は光だけだもの」

さらっと言い放つ柴崎に反応せずにチラシをよく見る

「……………ね、消えたって書いてあるけど、」
「馬鹿ね、続きを読みなさい」

言われた通りに裏面をみる

そこには








魔女とミイラ男がいた



あなたも仲間になってみる?

と一言添えられて


「……………これ」
「そ、光」
「えぇえっ?!顔、分かんないじゃん!」
「これも業務部の皆さんの意見の一つよ」
「え?」
「手塚はぐるぐる巻きなイメージがって」

その一言に郁ははっする

「もしかして………明日のイベント、私達、仮装?」
「あらやだ、珍しく鋭いわね」

その一言に郁は真っ青になる

「え、ちょっ、私、何になるの?!」
「さぁ、何かしらねぇ?」
「え、柴崎!」
「お楽しみよ」


クスクス


笑う柴崎が


本当に




魔女にみえた
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