愛する君と

□終わりと始まりの日
3ページ/5ページ



ファンクラブの連中が彼女に対し嫌がらせをするようになったのだ。

嫌がらせを受けていたことを俺達は知らなかった。
知らなかったと言うよりは気づかなかったと言った方が正しいのかもしれない。
彼女は俺達に気づかせないようにしていたのだ。
勘が鋭い連中でさえ気づかなかったのだ。
彼女は一切表面には出さずマネージャー業をしていたし、普通に過ごしているふうに思わせていたのだ。


嫌がらせのことを知ったのはクラスで彼女と中の良い女子生徒から聞かされて分かった。


「ねえ、気づいてないみたいだけどさ。茜ファンクラブから嫌がらせを受けているんだよ。茜になんかあったら、あんた達テニス部のこと一生恨んでやるから!!」


俺を睨みながらその女子生徒は他の女子達の輪の中へと戻って行った。


最初は信じられなかったがいてもたってもいられず跡部のクラスに行き話した。

話し終えると跡部は静かにただいつもより低い声で言った。



「忍足。他の奴らに今すぐ部室に来るよう伝えろ」

「伝えんのはええけど、授業どないするん?休み時間終わるで?」


跡部の隣で話しを聞いていた眼鏡をかけている少年はサボる気か?と問うた。


「なら聞くが、授業と榊の問題と。忍足、お前はどっちの方が重要だ?」

「………はーあ。メールより直接行って呼んで来た方が早そうやから、行ってくるわ。」


忍足は前髪をかきあげながら答え、そのまま他のメンバーの元へ向かった。



「宍戸。お前は榊を部室に連れて来い。」

「お、おう。跡部はどうすんだ?」

「監督に事情を話し、次の授業を緊急ミーティングにあてることにしてもらうんだよ。それならサボったことになんねーだろうからな。」


お前は榊を何がなんでも連れて来いよ。

と言い残しテニス部顧問の所に行った。
自分も教室に戻り、

大事なミーティングをするらしい。


と彼女を呼び出し、一緒に部室へと向かった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ