愛する君と

□宍戸亮の受難・前編
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「…………。」

「彼女が気になるの?」


扉の方を見ていた忍足に気づいた滝は珍しいねと笑った。



「…知らない場所に1人は心細いやろ?」

「そうだね。なら、さっさと食べて移動すればいいんじゃない?」

「2人とも早く座れって」

「……だって。」

「……はぁ。」


忍足は苦笑しながら滝と空いている席に座ったのだった。









第6話












「…………。」

「…………。」


いつもなら騒がしいはずの食事が今日は違った。
会話もなく食器の音だけが部屋に響いている。

誰も喋ろうとはしない。

茜が黙ったまま食事をしている為、他の者も言葉を発することをしないでいた。


「…………。」


「……。そ、そういえばそろそろ合宿が近いですねっ!」


沈黙に耐え兼ねた鳳は近々が行われる合同合宿の話題をふった。



「あ〜…。そういやぁ、そうだな。」

「皆、ちゃんと準備した?」

「あったり前じゃん。」

「俺お菓子いーっぱい持ってくC〜。」

「…ジロー…遠足じゃねえんだぞ。」

「A〜。跡部のケチ〜」


むぅっと頬を膨らませ不満な表情で奥に座っていた跡部を見た。



「お前は菓子のことより朝起きることを心配しろっ。遅れたら置いていくからな。」

「大丈夫だよー。ちゃーあんと…目覚ましかけ……………るぅ……zzz。」

「言ってる側から…。樺地。」

「ウス。」


跡部の隣に座っていた樺地は立ち上がり寝てしまった芥川を米俵のように持ち上げ客室へと運んで行った。



「当日も樺地が運ぶことになりそうやね。」

「もう定番になってるよね。」


和やかなムードになりつつある為皆は安堵した。



「……あたし合宿行かないから。」


料理を食べながら茜は言った。
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