愛する君と
□宍戸亮の受難・中編
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「あっ、やべ…携帯忘れた…。」
宍戸は携帯を別室に置き忘れたことに気づき、取りに行くことをつげ部屋を後にしたのだった。
第7話
「携帯忘れるとか…激ダサだぜ‥。」
歩きながら宍戸ははぁと溜め息をついた。
だが、今回は助かったと思っている自分もいる。
あの空気の中食事をするのもちょっとなぁ…と感じていたためだ。
(けどあいつがあんな怒ったの初めてだな)
茜があんなに怒ったのを見たことがなかった
女子生徒から嫌がらせを受けた時や、部内の仲間と喧嘩した時も今日のように感情的になってはいなかった
茜の表情が無表情になるようなことは今まで1度もなかった。
(やっぱ、家族だもんな)
家族と他人に接する対応に追われるは違うのは分かるが、仲間として、友人としては少し寂しい気もする。
「わりぃ、携帯忘れ…………………た………。」
宍戸は部屋のドアを開け固まった。
『あっ…。』
「………。」
茜の双子の妹であるルリはソファに座って彼女の前には跡部家の執事の青年がいた。
いた、だけなら固まりはしない。
青年はソファーに座っているルリの横に手をつき、もう片方の手は彼女の髪を一房掴み口づけをし、ルリの方は青年のネクタイを掴みながらこちらを見ている。
その様子を見た宍戸はみるみる顔を紅くした。
「あ、えっ、あ、し、し失礼しました!」
宍戸は真っ赤になりながら踵を返し勢いよくドアを閉めたのだった。