愛する君と

□終わりと始まりの日
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ならば何故彼女はマネージャーになることができたのか?


それは彼女が転校してきた去年に遡ることになる。


夏休みが終わり、部活から3年生が引退しこれからは自分達が部活を盛り上げていくことになった時期に彼女は2学年に転校してきた


「――から転校してきました榊茜です。宜しくお願いします。」


ふわりと笑顔を浮かべた彼女を見ていた男子は頬を紅くし見惚れていた。
中には一目惚れした者も少なくはないだろう。
かくゆう自分もそのうちの1人に入るかもしれない。
彼女を可愛いと思ってしまったし、実際二人っきりの時は意識してしまい上手く話せなかった時期もあった今思い返せば淡い恋心を抱いていたのだと分かる。


たちまち何人もの男子を虜にした彼女に対して女子はあまりいい顔はしないだろう。
だが、彼女の性格のせいかクラスでは浮くことはなく女子と普通に接していたし険悪な雰囲気になることもなかった。


そんな彼女が男子テニス部に来たのは転校してきてから1ヶ月たった秋頃のことである。


「初めまして。榊茜です。マネージャー業は初心者ですが、やるからには頑張りたいと思ってます宜しくお願いします!」


ぺこりとお辞儀をし顔を上げた彼女はクラスで自己紹介した時と同様の笑顔を浮かべた。

やはりここでも彼女に見惚れる者がいた。
現に自分の隣にいた奴は見惚れていたのだから他にも絶対いたに違いない。

彼女がマネージャーになったことに不満を持った奴も中にはいた。
跡部はまた前みたく部内が乱れるのを嫌って結構きつく接していた。
けど彼女はいくら跡部に言われても弱音を吐くことなく、初めは失敗してばかりだったマネージャーの仕事も今では200人分のドリンクやタオル、ルールだって覚えスコア点けもお手の物になっている。

その頑張りを見て跡部は彼女を認めた。

跡部だけじゃない。俺や他のレギュラーメンバーだって榊茜をマネージャーと認めた。

準レギュラーや平部員達も彼女はミーハーなんかではなくちゃんと自分達をサポートしてくれるマネージャーだと認めた。

もう俺達の中であいつは男子テニス部マネージャーで仲間なのだ。


蟠りもなくなり部内も安定してきたと感じ始めた時事件は起きた。
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