本棚

□大好き!
2ページ/3ページ


「…やっぱり来てる...!?」


私はその日学校に遅くまで残っていて、
真っ暗な道を歩いていた。
すると、後ろから足音が聞こえた。


でも、振り返っても誰もいなかった。


気のせいかなと思いながら、
もう一回振り返ると。
次はすぐそこにある電柱の影から
…一人の男の人が私を見ていた。


気味悪くなって、私は走った。


でもその人はついつきてた。


「はぁっ、はぁっ、」


「…………っ」


「…っ、やっぱり来てる!!
っきゃあ!!」


「……?」


逃げていると、
誰かにぶつかってしまった。


「ごめん…っ、なさい!!」


バッと顔をあげると、
赤い瞳の男の人がいた。


…これが、私と
レッド先輩との始めまして。


「…君、一年の…」


「せ、先輩…?」


見覚えのある人で、
よく見直すと友達が騒いでいた
あの三年のレッド先輩だと、その時に解った。


「あ…、の…失礼します!」


先輩を巻き込む訳にはいかない。
私の問題なんだから。


私は走った。


…けど、


「…待って…」


「え?」


パシッ、


手を掴まれて、私は自然的に
レッド先輩に抱きしめられる形となった。


「…いま、呼ぶから。」


それだけ言って、
レッド先輩は携帯を取り出した。


…何処にかけているのかは
全く聞こえなかったけど。


「…レッド、」


「グリーン遅い」


「これでも走った!
…で、こいつか?」


「うん」


レッド先輩は、私を
グリーン先輩に預けると。
さっきの男の人の方へ走った。


「レッドせんぱ…っ!」


「大丈夫だ。」


私は後を追おうとしたけど、
グリーン先輩が行かせてくれなかった。


「お前、一年のニアだな。
シルバーと同じクラスの。」


「…はい。」


「あいつはなんなんだ?」


グリーン先輩は私の目をじっと見て、
そう問いかけて来た。


「…多分ストーカー、だと思います。」


「そうか…いつから気付いた?」


「ついさっき…。
学校を出てすぐです。」


「…グリーン」


「レッド先輩!」


先輩が男の人を引きずって来て、
グリーン先輩に手渡した。


私はグリーン先輩から離れて、
レッド先輩に抱きついた。


「ごめんなさい!ごめんなさい!」


「どうして謝るの?」


レッド先輩は、
私の頭を撫でながら。
グリーン先輩と私を
交互に見た。


「さぁな、多分ストーカーが
怖かったからじゃねぇの?」


「違います、違うんです!
…巻き込んじゃって…。
危ない目に合わせちゃって…」


未だぐすぐすと泣いている##NAME1##に、
レッドはこう言った。


「大丈夫だから。」


…たった一言。
だけど、その一言が嬉しくて
私は余計に泣き出して、
二人を困らせてしまった事を覚えている。


「…って言うか##NAME1##、
俺たちの事、覚えてないの?」


「へ?」


レッド先輩の質問に、
私は目を丸くした。


「その様子じゃ、気づいてないな。」


その隣ではグリーン先輩が
ため息をついている。


私は疑問符を頭に浮かべた。


「…ま、いつか思い出すだろ。」


グリーン先輩はそう言って、
私の頭をぐしゃりと撫でた。


レッド先輩はため息をついついたけど、
私はまだその時、
二人が私の幼馴染と言う事を
思い出してはいなかった。


その事を思い出したのは、
それから二週間立ってからだった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ