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□だってさ、
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「グリーン!」
ドタバタと、
トキワのジムに乗り込む女が一人。
「お前なぁー、ちっとは遠慮しろよ。」
「だって、グリーンが言ったんだよ?」
くりくりと、可愛らしい黒目を俺に向けた。
…うっ、
「ね?言ったのグリーンでしょ?」
「ま、まあ。」
「それにそれにー、
いつでもグリーンに会いに来れるなんて、
私、とっても嬉しいよ!」
…そう、いつもだ…。
俺はずいぶん前から、こいつ…。
つまり##NAME1##に惚れている。
俺は最近##NAME1##が毎日のように
ジムに来る事を
心から嬉しく思うようになっていた。
…が。
「今日はレッドさんの所に
ゴールド君が来てたんだよ!」
…と、レッド話ばかりするようになった。
レッドの事は友達としか思っていない。
そう##NAME1##からはっきり聞いたから
レッドを嫉妬の標的にする事はない。
…が、だ。
レッドさんが、レッドさんが。
最近は俺の所に来ても、
レッドの話しかしていない。
正直に言うと、結構悲しかったりする。
「でね〜!」
「あー…、##NAME1##?」
「んっ?」
「いや…。」
自分で呼んでおいて、なんなんだこれ?
俺ってこんなに、
しどろもどろな奴だったか?
自問自答を繰り返し、
ようやく覚悟を決めると。
##NAME1##に向き直って聞いた。
「…さ、最近いつレッドんとこ行った?」
…………あれ?
聞きたかった事じゃねぇ。
俺は、頭を抱え込んで。
その場で脳内整理をはかった。
その間、##NAME1##は頭に疑問符を浮かべた。
「今日、かな?」
ちょっとして返って来た答えは、
俺の聞きたかった事じゃねぇ。
そりゃそうだ、
俺の質問がおかしかった。
「…… ##NAME1##。」
「ん?」
ぎゅっと##NAME1##を抱きしめると、
俺の頭の中は
驚くほどにすっきりと整理された。
…そうだよな、うん。
##NAME1##の前で
固くなる必要は無いんだよな。
##NAME1##だし。
ちゃんと言えばいいんだよな。
「…俺さ、##NAME1##が好きだ。」
「…わたしもっ!」
##NAME1##は、微笑みながら、
俺を抱きしめた。
(なんであんなにレッドレッド言ってたんだよ?)
(だってさ、グリーンに嫉妬して欲しかったんだもんっ!)
(………っ、)