本棚

□だってさ、
1ページ/1ページ



「グリーン!」


ドタバタと、
トキワのジムに乗り込む女が一人。


「お前なぁー、ちっとは遠慮しろよ。」


「だって、グリーンが言ったんだよ?」


くりくりと、可愛らしい黒目を俺に向けた。


…うっ、


「ね?言ったのグリーンでしょ?」


「ま、まあ。」


「それにそれにー、
いつでもグリーンに会いに来れるなんて、
私、とっても嬉しいよ!」


…そう、いつもだ…。


俺はずいぶん前から、こいつ…。
つまり##NAME1##に惚れている。


俺は最近##NAME1##が毎日のように
ジムに来る事を
心から嬉しく思うようになっていた。


…が。


「今日はレッドさんの所に
ゴールド君が来てたんだよ!」


…と、レッド話ばかりするようになった。


レッドの事は友達としか思っていない。


そう##NAME1##からはっきり聞いたから
レッドを嫉妬の標的にする事はない。


…が、だ。


レッドさんが、レッドさんが。


最近は俺の所に来ても、
レッドの話しかしていない。


正直に言うと、結構悲しかったりする。


「でね〜!」


「あー…、##NAME1##?」


「んっ?」


「いや…。」


自分で呼んでおいて、なんなんだこれ?
俺ってこんなに、
しどろもどろな奴だったか?


自問自答を繰り返し、
ようやく覚悟を決めると。


##NAME1##に向き直って聞いた。


「…さ、最近いつレッドんとこ行った?」


…………あれ?


聞きたかった事じゃねぇ。


俺は、頭を抱え込んで。
その場で脳内整理をはかった。


その間、##NAME1##は頭に疑問符を浮かべた。


「今日、かな?」


ちょっとして返って来た答えは、
俺の聞きたかった事じゃねぇ。


そりゃそうだ、
俺の質問がおかしかった。


「…… ##NAME1##。」


「ん?」


ぎゅっと##NAME1##を抱きしめると、
俺の頭の中は
驚くほどにすっきりと整理された。


…そうだよな、うん。
##NAME1##の前で
固くなる必要は無いんだよな。



##NAME1##だし。
ちゃんと言えばいいんだよな。


「…俺さ、##NAME1##が好きだ。」


「…わたしもっ!」


##NAME1##は、微笑みながら、
俺を抱きしめた。



(なんであんなにレッドレッド言ってたんだよ?)
(だってさ、グリーンに嫉妬して欲しかったんだもんっ!)
(………っ、)
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ