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□バカな奴ほど
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「レッドさー、んわあっ!!」
「…また来たの?」
「き、来ました〜!」
賑やかな明るい声と共に、
一人の女の子が入ってきた。
この子は##NAME1##と言って、
前はゴールドと一緒に
旅をしてたらしいんだけど。
ゴールド別れて
今は家によく来るようになった。
ま、家っていっても洞窟だけど。
「あの…まだ下山しないんですか?」
「しないよ。」
「なら…オセロしましょう!」
「………」
##NAME1##はよく
いきなり訳の解らない事を言い出す。
…まぁ、いつもの事だから
慣れつつあるけど。
##NAME1##の大きなリュックサックから
オセロの碁盤と
白と黒の碁石を取り出した。
「ルールは知ってますよね?」
「うん」
##NAME1##からの先行で、
俺は白の碁石を一つ持って。
##NAME1##の黒色を全部白に変えていった。
「……ま、負けました…。」
「うん」
机の上でぐでってなっている##NAME1##。
「…オセロでは勝てると思ったのに…。」
ぶーたれている##NAME1##は、
普通に可愛いと思う。
と、言うか静かな時は
普通に可愛いと思う。
「…あの、レッドさん…」
「なに?」
「一つ、質問があるのですが。」
「うん」
……いきなり静かになられると
反応に困るんだけど…。
でも、やけに真剣な##NAME1##を前にして
そんな事は言えない。
「レッドさんには、好きな…
好きな…こ、…。
好きな子はいますか!」
オクタンみたく真っ赤にして、
##NAME1##は俺にそう聞いた。
…………バカ?
普通、好きでもない奴を
家にあげたりとかしない。
ま、家と言っても洞窟だけど。
「いるよ」
だから、素直にいると言った。
けど、
予想した、##NAME1##の笑顔じゃなくて。
##NAME1##の目からは綺麗な雫がぽろぽろと落ちていた。
……………なんで?
「そう…ですか…。」
「うん」
「で、ですよね…。」
「……どうして泣くの?」
「へっ?」
俺の言葉を聞いて、
##NAME1##は涙が
流れているのを知ったようだ。
…どうして泣くの?
いると言った時の、
あの##NAME1##の絶望を
目の当たりにしたような顔を、
俺は思い出していた。
……もしかして、
「あ、あはは!ごめんなさい!
今日のところは、帰りますね!
なんだか目の調子も悪いみたいですし。」
言って、##NAME1##は涙を拭いながら立ち上がる
…本当にバカ?
「……え、レッドさん…?」
「… ##NAME1##、好きなんだけど。」
「…………へっ?」
「##NAME1##、勘違いしてる」
優しく##NAME1##を抱きしめてそう言うと、
##NAME1##は下から俺を見上げる形となった。
…わざとかな、その上目遣い…。
「今言った好きな子は、
##NAME1##の事。」
「うそ…だぁ。」
未だ流れている涙を舌で拭うと、
##NAME1##はまたオクタンになった。
…面白い。
「本当。好きだよ、##NAME1##」
「レッドさ…」
俺はさらに##NAME1##をきつく抱きしめた。
…バカな奴ほど可愛い、
……本当にそうだと思う。
だって、##NAME1##がこんなに可愛く見えるから。
20110919