ぶっく2

□愛して、愛されて
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“顔見知り”と言うと遠すぎると思うけど
かといって“友達”と言うと近すぎる気がする。まぁそんなところ。







「はぁ、もうなんだよ!!」


「なんだじゃない!もともとキミがなぁ」


「ちげーよお前がいちいちいちいち俺に構ってくるから」


「は、はぁ?いつどこで僕がキミに構ってたというんだ」


「構ってました〜
アレか、そんなに俺のこと好きなのか?」


「っ!!」


「……え?」





「…そうだ、僕はキミが好きだ」






愛して、愛される






もともとの言い合いの原因なんて覚えてない
多分また、ほんの些細なことだと思う。
だからまたそんな中のひとつだと思ってた



『…そうだ、僕はキミが好きだ』




「〜〜〜〜!!もうなんだよアレ!!」


「っ!!なんやいきなり、ビックリしたわー
ついさっきまでボケーっと遠く見てたやないか」


「ん…あぁヒメコかよ。
今俺は人生で5番くらいのピンチに陥ってるんだよ
そんなに話したいならスイッチと話せ」


「なんやその言い方ムカつくな!」


「と言うか俺まで巻き込むな
今俺は明日、限定フィギュアをGETするためのなぁ」


「別にお前と話したかないわ!!

というかボッスン椿となんかあったやろ」


「は、はぁ?
なんで椿が出てくんだよ」


「だって椿とケンカしてるときまで普通だったからな〜
で。何があったんや?」


「なにワクワクしてんだよ!
別に何もねーよ」






そう別に何もなかった






◆◇◆◇◆






「…そうだ、僕はキミが好きだ」



「……え、とそれはつまり…」



「恋愛的な意味だ」



「あ、あぁそう、か。」



「……」



「……」



「……ふじさ」「無理だから」





「……え?」



「だからお前の気持ちには応えられない
そもそも俺もお前も野郎だろ」



「で、でも僕はっ」



「とにかく、お前をそんな目では観てなかったし観るつもりもないから」



「ふじさ」「悪い椿……じゃーな」





◆◇◆◇◆






別に深くは考えなかった
椿は男だ。だから――………






あんな言い方して嫌われたに違いない
でも言うほど焦ってもいないし構わないのだと思う
アイツは生徒会の会長
俺はスケット団の部長
もともとこんな風に交じり合う間柄ではないのだから







俺がそれはただの言い訳のひとつにすぎないというのを知るのはもう少し先の話







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