ぶっく2

□届かない気づかない
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あ。








いつだって貴方は――……








届かない気づかない










「オイ!偽忍者何見てんだよ」






そう言ってオレの視線の先を見るアホ
なるほどと言って勝手に納得するアホ

そんな生暖かい目すんな、お前よりかはましだ


外は風が強いのかあの人の髪がサラサラなびく
教師の他愛ない話なんて右から左に流れる





アイツと何話していたんですか



そんなことはいつだって聞ける
でも違うんだ
ケンカしてるように見えるけど違う
知ってる。




「うるせえ」




金色に輝く瞳に引き込まれ、その凛とした心に強く打たれて
誰よりも厳しいくせに誰よりも人に優しくて
自分には無頓着なくせに当たり前かのように人を手助けをし
何にも知らないくせに俺を受けとめて
知らず知らずに人の心に入りこんで




でもそんな貴方は……





初めに思ったのが仲悪いんだな、と
次に思ったのがお互い似ている、と

でもやっぱり仲悪いんだなと思った






その異変に気づいたのは少し前







「会長」


「なんだキリ?」


「このスケット団の部費って…」


「む?…あぁ!250円は間違いではないぞ」


「…少し他の部活と差があるみたいですね」


「あぁ、あいつらは部費をお菓子代と勘違いしているしな」


「ずいぶんとスケット団に詳しいんですね」


「ゆ、藤崎は単純だからな」


「そうですね」



会長がいいかけた「ゆ」とは何なのかあの時はわからなかったし、考えもしなかった

二人のときだけ呼ぶ特別な言葉など……









◆◇◆◇◆◇





会長との話は楽しい。
特に帰り道、会長の綺麗な黒髪が夕日で赤オレンジに照らされ
あぁ、会長と時間を共有しているんだな、と改めて気づくから


この頃気づいたのが
茎ワカメをクッキーと呼ぶこと、ネコが好きなこと、それから…






好きな方がいること







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