捧げモノ

□ラブポーション
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藤椿前提椿総受け





「ちょ、ちょっ!かっ会長ー!」



ボクの声が生徒会室に大きく響きわたった
普段も声をあげているときもあるが、またそれとは別のことで



「うるせーよ椿、俺には立派な耳があるからちゃんと聞こえるぜ?」


「な、なら、いきなりこんなことしないでください」


事の始まりも些細なことで、ただボクが生徒会室に入って、ただ仕事に取りかかろうとしただけだ
そうしたらいきなり会長が首を触ってきて……


今日の最高気温は32度だったと思う
そんな時期なので身体が汗ばんでいる
そんな中でヒヤリとした会長の手はなんと言うか……



「ぞくぞくした?」




「は?」





何を言っているんだこの人は!!
ぞっぞくぞくなどして……ない!そんなこと決してなくなくない!!

ボクはただ早く仕事をしないとだし、そもそも会長が仕事をやらないからこんなに仕事が溜まっているわけで、果たしてこの人はそれに気づいているのだろうか



「アイツはこーゆーことしねぇの」

「ひゃっ!」


「オーオー可愛い反応してくれますな」



「会長……」



カッカッカ。とまたボクをからかってきて
なんでそんなにボクに構ってくるんだ
会長は黙っていればとてもすてきな方だったはず、はずだ!



「安〜形!遊びすぎ」

「イテっ」



「榛葉さん!」


彼の拳がゴツンと軽く会長の頭を触れる
もう大丈夫だよと、またどっかの誰かさんのようにボクに触る
会長の暴走を止めてくれるのはありがたいがこの人もこの人で色々と大変で……


「椿ちゃんも仕事忙しんだから仕事しない安形はほおっておいてあげなよ」


「オレダッテ仕事シテル」


「「ウソつくな」」



「っち、わ〜ったよ!今日はこれぐらいにしとくか、じゃオレけーるわ」



「よかったね、椿ちゃん」


「…はい」



一見優しい先輩のように思われるが
この人はある意味会長よりも危ない方だ
ボクもかれこれ長い間騙されてきた
会長は赴くまましたいときにちょっかいをかけるかたで優なれば野性的な人だ
その点榛葉さんはとても人間的な人である






















(よし、これを済ませば帰れるかな。
時間は――よしまだ約束までに20分はあるな)




「ねー椿ちゃん、今日作ったクッキーあるけど食べる?」


「いえ、あまりお腹空いてるいませんし」


「いーからいーから、ほらアーンして」


「だから!」




きた!
さっきも言ったが榛葉さんはとても人間的な人であり、物事、特に人の心がよくわかるようで、だからこそ計算高い人だ

先にボクの警戒心を解いてからボクで遊びだす



「ははっ
やっぱ椿ちゃんて可愛いね、ちょっとニャーって鳴いてみて」


「可愛くないですし、鳴きません!」


「お願い、ほらクッキーあげるから」


「それはさっき断ったヤツじゃないですか」

「あ!バレた?」



何を言ってるんですか
きっとそう言ってもまたからかってくるに違いない
生徒会に入りたてはこんなんじゃなかったのに――……、と少し振り返ってみたが哀しくなってきてやめた

ふと時計を見ると5時25分、あと5分か――と思うと少し気が軽くなった
それと同時にある人の顔が浮かんだ、ブワーっと胸のうちから熱いものが込み上げてくる



「椿ちゃんもう帰るの?」


「あ、はい。仕事もきりがついたので」


「んでやっぱり今日もなの?」


「…はい」


「たまにはオレとかどうよ」


「遠慮しておきます」


からかうような言い方に少し笑みがこぼれた
たまにみせるこの榛葉さんの顔をみると、ファンがたくさんいることにも頷ける


「ジョーダン、ジョーダン。椿ちゃんはからかいやすいね」


「し、榛葉さん!!」





「おーい椿ィ、おっせぇから迎えにきたぞー」


ガラリと扉が開く音が聞こえた



「ふっ藤崎!?」


ハッと時計をみるとメモリは8を指している、つまりは40分
こんなに時間が経っていたとは


「す、すまん!」


「んじゃ、かわりになんか奢れよ」


「なっいつもはボクが待っている方じゃないか
それをあたかも自分だけだと言うとは!」


「うっうるせーよ!
ほら帰るぞ」


「うるさいのはキサマだ!わかっている

それでは榛葉さん、また明日」


「う、うんまた明日ね」












◆◇◆◇◆◇





「は!!?お前、安形に首触られたのかよ!」


「ま、まぁ会長はボクで遊ぶのがマイブームみたいだし、飽きるまで待つしかないが……」


「……遊ぶ…ね……へぇ

んじゃまさか榛葉さんにも……」


「どちらかと言うと榛葉さんは言葉でからかう感じだな
今日も鳴けとかアーンしてとか」



「は、はぁ!?な、鳴け……?
お前らどんな話してんだよ」


「とくにこれと言っては…」


「まっ!どーでもいいけど」


「………」


「……アレ?なんかしゃべんねーの」


「いや、普通だったら妬かないのかなーと

アレだぞ、浮気はバレないようにだからな」


「してねーし!これからもしねーよ!


そ、それに……」


「……?」


なんだ?



「椿ってオレのこと大好きじゃん?」


「ツバキエクスプロージョン!」


バギっ







そのとき何かが壊れる音がした








ラブポーション





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