ぶっく

□もったいない
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「はぁ……」




盛大なため息がスケット団部室に響き渡る



「あのさ、来ていきなりため息とかやめてくんない?」


「僕だって好きでやっている訳ではない」



そして再びハァとため息をついた
いつもはキリッとしていてそれはもう、生徒の模範のような椿に藤崎は首をかしげた


「つか、どうしたんだ?
生徒会の活動が辛いのか??」

それならば、話は別だ、一応そこんとこ
安形に頼まれてっし。

と言おうとおもったが照れくさくて口を閉じた



「そうではない。むしろ皆が手伝ってくれるから毎日がとても充実している」


その言葉にすこしむっとして

「じゃあなんだよ??
生徒会のお仲間がいて、毎日が充実してる?
なら全然問題ねぇじゃんかよ」


つい意地悪なことをいってしまった



少し後悔して、しばらくお互い気まずくなり
沈黙が続いた…








「…リ…な」




細いかすれた声が聞こえた



「え?何?も1回いって??」



藤崎が耳を傾けた
椿が顔をカッと赤らめて
今度ははっきりと


「キリが…キリがモテるんだ…
確かにキリはカッコいいし、優しいし
気も使える…」



それを聞いて今度が藤崎がハアァとため息をついた
なにか言いたそうなそぶりをみせたが
ぎゅっと口をつむぎ
少し悲しそうな顔を一瞬だけみせた


「で、お前は加藤が取られんのが怖いってか?」


「…いや、そうではない…
キリは別に僕じゃなくても他におもってくれる人がいて
僕は年上だし…そ、その男だし
キリが僕に気を使ってるのではないかと不安で……」



つか、アイツが椿以外の奴なんかに興味あるわけねーじゃん


藤崎がフッと言おうと思ったが
なんだかおもしろくないからやめた






少しすると藤崎がニヤリと口角をあげた



(俺、椿の兄失格かな?)

すこし藤崎が笑みをみせた
そして手招きをした



「じゃあさちょっと椿、こっち来いよ」





「どうした。いきなり?」


様子が変わった藤崎に少し不安をいだいた



「いーからいーから…」



しかたないから椿は、
しぶしぶその命令に応じた


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