ぶっく
□気づいてしまって3
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流れる雲を見て気づいた
………いやもしかしたらずっと前からわかっていたかもしれない
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ん〜〜〜!…ってまだ外暗いじゃん」
伸びをグイィっとして身体をほぐし
手元の時計をみると4時を指している
まだ外は薄暗く霞がかっている
いつもなら二度寝に入る藤崎だが昨日のモヤモヤが気になって目が覚めてしまった
「あぁ、マジ勘弁してくれよ」
思い出すのはあの映像………
(丹生さん椿のこと本気で……)
意味もなく手を天井にかざしてみた
しかしなにも掴めないし、変わらない
オレには関係ない、そう思うことにより少し楽になれると思ったが、残ったのは寂しさ、孤独
少し前まで椿はオレのものだと思ってた
だってオレのことが
(オレのことが……)
一方オレはどう思ってた?
もちろん恋愛対象にすら入ってないし、付き合う気なんてない
だってそんなの当たり前だろ?
じゃなきゃおかしい、オレは男だから
じゃあなんで椿は男のオレを………
「ひとっ走り行ってこよ」
◆◇◆◇◆◇◆◇
「うぅ!寒いっ」
春とはいえまだ早朝は冷える、空はだんだん明るくなり水色に戻りつつある
「ま……今日のところは歩くか」
今日というかきっと明日も明後日もないことぐらい藤崎にもわかっている
しかし疲れるのが嫌なんだろう
(……ったく、空が青ぇな
こんだけ綺麗だと逆にため息でてくらぁ
……………あれ?もしかしてオレ今、病み期?)
ははっと藤崎が笑う
家から少し出ると河原がある
そこの斜面に沿って藤崎が寝っころがる
「なーんか、ここ通るとこーしたくなんだよなぁ」
ゴロゴロと転がり、転がり飽きると空を見た
流れる雲を見て藤崎が何かを考えている
少し時間が経ち藤崎から急に、にっと笑みがこぼれた
「なーんか腹減ってきた」
朝飯食うか、と言いながら
スッと立ち上がり、土をはたいて家へ向かう
(結局あんま歩いてもねぇじゃん)
しかし藤崎の足どりは軽くなっていた
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