Alice In Underland.

□01: mangy cur and would be saint.
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ゆらゆらと。




ゆらゆらと、俺はさまよう。
そこは暗い場所。

一面の、闇。


手を伸ばしても、何もなくて。
目をこらしても、何もなくて。
耳を澄ましても、何もなくて。


そして、











「……ぃ、おい! 起きろアリス!」

黒須墓の声で、目が覚めた。
いつの間にか寝ていたらしい。
俺は、ベッドの上でゴロリと寝返った。
見上げると、黒須墓が煙草をくわえたまま
不機嫌そうな面で俺のことを
見下ろしていた。

「もうおはよう、の時間じゃねェんだが。」

「……今、何時だ?」

「当ててみろ」

「11時17分」

「惜しいな、11時21分だ」

「確かに、おはようじゃないな」

「わかったんなら、さっさと起きろ」

「へいへい……ぃよっと、」

反動を利用して、起き上がった。
起き上がると、黒須墓がシンクの前に
立つのが見えた。
ガチャン、と鈍い音が響く。
ヤカンをコンロの上に置く、乱暴な音。
お湯を沸かすつもりかな。

「コーヒーが飲みたい。」

俺の呟きに、黒須墓は
無言で俺を睨んできた。

「…………、」
「いいじゃないか、ついでだろ。」

「いいか、俺ァ今から紅茶を飲む。
 コーヒーと紅茶は大違いだ。
 故に、ついでという言葉はこの場合
 ふさわしくねェ。わかるか?」

「つまり、遠まわしに拒否ってんだな?」

「よくわかったな。」

「いつも思うんだが、
 その回りくどいしゃべり方、
 何とかならないのか?」

「悪かったな回りくどくて。」

「悪いって自覚あったんだー?」

「うぜェ」

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