ただ君だけを守りたい
□二人の矛盾
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カシャン、カシャン…
すでに誰もいなくなった教室には2人のホッチキスの音が鳴り響いていた。
現在私は頼まれた仕事を愚直にこなしている。
もちろん、例の新入生とはかなり離れた席に座って。←
新入生「…なぁ。」
さっきから視線を感じていたからあえて目を合わせないようにしてたのに。
こうやって話しかけるなオーラ出してるのにまさか話しかけてくるとは。
『…何ですか?』
あえての丁寧語。さすがにこれはキツイだろ。←
新入生「ちょ…、丁寧語はやめろよ。
俺たちの仲だろ?」
どうしよう。相手が何を言ってるのかわからない。
仲って…まさか今朝のこと?
『??』
私が困惑したような顔をすると新入生は驚いた顔をした。
新入生「…まさか…忘れたのか?俺だよ!!黒葛原 洸輝!!昔よく遊んだだろ!?」
つづらはら こうき…
あぁ…そうか……
『苗字、そうやって読むんだね。』
洸輝「……は?……お、おい。冗談だよな?」
『え?何が冗談?』
会話がかみ合わない。
洸輝「……嘘だろ?…俺のこと…覚えてねーのか?」
『覚えてるも何も…今日で初めて会ったんじゃん。
……昔よく遊んだって…人違いじゃないかな?』
同姓同名なんてたくさんいそうだしね。
洸輝「………人違い…かな。いや…でも…。
…… 好きな色ってオレンジだよな?」
『え?突然何?………確かに私は小さい頃からオレンジが好きだけど…。』
洸輝「誕生日は9月25日。天秤座。血液型はA型。好きな食べ物はオムライス。嫌いな食べ物はねぎ。将来の夢は看護婦…」
鳥肌がたった。
『…何でそんなことまで知ってるの…?』
すべてあたっている…
洸輝「……これはあくまで昔の愛結の情報だ。
だから今は変わってると思ったが……」
変わってなくて安心したよ、と黒葛原君は優しく笑った。
その表情をまたかっこいいと思った自分を殴りたい。←
って、そんなことよりも…
『…何歳のときに私と出会ったの?』
洸輝「……本当に覚えてねーのか?…3歳の時から…そうだな…アレまでか。ちょうど10歳までだ。」
黒葛原君は本当に私のことを知っているようだった。
『そうなんだ…。ごめんね。忘れちゃって。……本当にごめん。』
私って最低だ…今まで黒葛原君のことを危険人物と見てきたりして…
あんな冷たい態度をとっても私のことで優しく笑ったりしてくれるのに…
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