その他

□CHANCE!!
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ある日の昼下がり


「あっ!!」

のんびりと午後のティータイムを楽しんでいたベルゼブブ優一は、友人兼職場の先輩(一応)の突然の大声に顔をしかめた


「どうしたんですか、アザゼルくん」


ベルゼブブが努めて冷静に尋ねると、

「ちょっとべーやん!アレ見てみ!」

と言ってアザゼルはあるものを指差した



ベルゼブブがアザゼルの指差す方を見ると、

「…あぁ、アクタベ氏寝ていらっしゃいますね」

芥辺が事務所のソファで本を読みながら眠っていた


「せや!」

と何故か誇らしげなアザゼル



「珍しいですね。いくらアクタベ氏といえども疲れが溜まっていたということでしょうか」

そっと寝かしておいてあげましょう、と言って、ベルゼブブはまたティータイムに戻ろうとする


そんなベルゼブブにアザゼルは怒鳴る


「ちゃうわ!他になんか思うことあるやろ!」


だが、ベルゼブブにはなんのことだかわからない


数秒考えたすえ、

「思いのほか気持ちよさそうですね。私も昼寝しましょう」

と言って睡眠体勢に入ってしまった


「違うやん!べーやんは何も分かっとらんわぁ、これはチャンスやで!」

「チャンス?」

もぞもぞと体を起こしつつベルゼブブは尋ねる



「せや!日頃アクタベはんが居て出来んことをやるチャンスやがな」


「確かに…私は長くこの環境に居たせいで正常な感覚が麻痺してしまっていたかもしれません」

アザゼルは情けない、というベルゼブブの肩を叩く

「やっと気付いてくれてよかったわぁ。ほな早速やりましょか」
「はい」



フフフフフフ…

芥辺探偵事務所に2匹の悪魔の笑い声が低く響いた



*******


(あぁ…ついうっかり寝てしまった)


いくら疲れているからとはいえ、寝るなんて俺らしくない

まだぼんやりとする頭で起き上がった芥辺は愕然とした



事務所が…ピカピカになっている

こびり付いた血痕や埃が跡形もなく、窓や電球の汚れを取り去ったことから薄暗い雰囲気が一辺、清々しい陽が差し込む解放的な空間を醸しだしている



「な…んだ、これは」


「あぁアクタベはん、起きはったん」
「ようやく眠り姫のお目覚めですね」

声のする方を向くと、三角巾にエプロン、マスクという本格的なお掃除ルックのアザゼルとベルゼブブがいた


「お前ら…」

「事務所が汚なかったので掃除しておきました」
「アクタベはん疲れとるみたいやったしな!



そう言ってせっせっと掃除の続きに取りかかる2匹を見て、“コイツら本当に悪魔か?”と疑問を抱く芥辺なのでした


 

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