小説
□最後のリボルバー
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少女は“悪”の人間だった。
人を殺して生きてきた彼女にある日“大切”が出来た。
少女は幸せだった。
自らの使命も忘れてしまうほどに。
それは唐突だった。
少女の“大切”を殺せと命令がきたのは、奇しくもクリスマスの日だった。
少女はサンタからのプレゼントにしては、歪で重たいリボルバーをその手に握った。
どうして?
どうして、殺さなきゃいけないんだろう?
どうして、私は今貴方に銃を向けているの?
「――もし……」
――もし、やり直せるなら、また二人で夏祭りの花火でも見に行きたいね。
「――うぅん、ごめん……」
そんなの無理だね。分かってるよ。
だって、私達は最初から全て違いすぎたから。