聖凛学園〜片思い物語〜
□5 消したい想い
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力が抜けた俺はそのまま地面に座り込んだ。
「っぉい!大丈夫か・・!?」
「大丈夫...デス」
機動停止になったロボットみたいに答えて。
さっきまで流れそうだった涙もいつの間にか止まっていた。
差し出された手につかまってゆっくりと起き上がり、制服のほこりを払うと
「あ、りがと...ございます。」
と、あいまいながらお礼を言った。
「別に。普通にアレ、ムカついたし。ってか、勝手に俺のものとか言ってゴメンな。」
大知のこと今、アレって言った!!
とか、面白おかしく心で一人突っ込みをすると、謝った会長に対して「全然・・・!」と、少し裏返った声で答えた。
気づいたらあたりはもう真っ暗で
「もう日が経つのも早いな」
なんて、少し親父臭いようなことを言う会長と真っ暗な道を歩く。
「さっきは、ホントにすいませんでした雨月会ちょ・・・」
「湊斗でいい。」
いきなりのことに状況把握ができなかったけど
「な・ま・え」
と、口パクで言ってくれた会長のおかげで理解する。
「え。でも、会長を呼び捨てにはできませんよ・・・」
「雨月会長だと、壁がありすぎっだろ・・・放送委員とは良く繋がりがあるのに、未だにそんな呼び方してるのお前だけだぞ...」
難しい顔をしてこっちを見てくるものだからちょっと考えて結局
「んじゃ、湊斗会長ってコトで・・・」
対して変わってねぇじゃん...。と少し呆れる会長だったけど、もう寮についたから諦めたのかちゃんと寝ろよ。と関係ないことを最後に言って自室の方へ歩いていく。
「あ、あの!今日のこと・・・」
「言わねぇよ・・・快。」
不意打ちで名前を呼ばれて少し顔が赤くなる。
当の本人は笑いをこらえながら歩いていく。
俺も怒ろうとしたけどそんな気力もなくて自室に入る。
「遅かったね、栄先生とそんなに居残りしてたの?」
相部屋の大和が首をかしげて言ってきた。
「へんな言い方すんるなよな...。お前。」
ん??と、理解してない大和をよそに俺は机に向かう。
『快・・・』
さっき言われた会長の言葉がまだ残ってて妙に心が暖かくなる。
「かーい?何にやけてるの?」
横から顔が出てきて思わず立ち上がる。
真っ赤になった顔を隠すと、変な汗が出てくる。
「なんでもないって・・・!!」
そういって、大和から逃げるようにベッドに潜り込んだ。
なんだよ、この感じ・・・。
また俺・・・
絶対に嫌だ。
もうあんな思いしないんだ・・・!
あんな・・・
あんな思い・・・――。
重くなったまぶたが閉じられて、俺の意識はそこで途切れた。
END
⇒管理人の一人反省会((ぇ