聖凛学園〜片思い物語〜
□5 消したい想い
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いつの間にか学校の門まで来ていて敷地をちょうど出る所だった。
「そういえば、さっき河瀬って言いましたけどそれって2年の・・・」
ふと立ち止まる。
自分の目を疑って顔が真っ青な状態に近くなる。
「あぁ。寮でお前と相部屋だっけ・・・ってどうした?いきなり立ち止まって。」
俺の目線の先をたどって着いたのは一つのカップル。
「・・・・・・あいつらがどうかしたのか?」
そりゃ端から見れば普通の男女カップル。
でも、そのカップルの彼氏側のほうは・・・・・・
「あれ?そこにいんの快じゃね?」
ドクンッッ――――
コレまでにないぐらいの緊張で心臓が跳ね上がる。
鼓動が早くなってるのがすごく手に取るようにわかって...
どんどん近づいてくるその男に比例するように俺の足は自然に後ろへと下がっていく。
「俺のこと、覚えてるだろ?中学のときの。まぁ忘れるわけねえと思うけどっwwお前の大好きな 矢倉 大知(ヤクラ ダイチ)クンでっす。」
俺とは全く対照的に明るく振舞ってくる。
俺の異変を感じ取って会長が近づいてくる。
そして、力が抜けて倒れそうになる俺の体を支えてくれた。
「・・・だ、いじょうぶか?」
すごく不思議そうにこっちを見てくる会長の瞳には泣きそうな目をこらえる俺の姿。
そんなやりとりを見て大知がニヤッと笑ってくる。
「何々?新しい彼氏?そうだよなぁ〜お前。そのために男子校に入った様なもんだもんなぁ〜」
大きく高笑いをしてこっちを見てくる。
そんな大知を見てると心底怒りがわいて出てきて普通に生徒どおしとかの関係だったら殴ってやりたい気分だった。
「――で?その彼氏くんはお前のことを捨てない良い人なの?ww」
「なっ・・べつに彼氏じゃ・・・!!」
会長に支えてもらっていた体を起こして反論しようとすると、その口は会長の手によってふさがれる。
「っ!?ふっ・・!!んーんー!!!」
必死に手をどかそうとする俺を無視して会長がすごい目で大知をにらんだ。
その迫力に俺も大知もその彼女も動きを止める。
「何・・・お前?用がないならさっさと行けよ。それとも・・・
俺の快になんか用?」
満更でもないような顔をしてしらっと吐いた会長の言葉にその場にいた全員が驚く。
だってそんなの俺も知らない...。
「で?そっちのは?彼女?」
チラッと彼女の方に目線を向けると俺の手をいっそう強く握った。
「彼女の方...。なかなか可愛いのにもったいないね。こんな男とつるんじゃって。
知ってる?君の彼氏、昔の彼女に3とか4股かけてフラれてるの。君もそうなるまえに縁切った方がいいと思うよ・・・?」
と、根拠もないことを堂々と言い放った。
「ちょっ・・何言っ・・・」
俺の声を消したのは完全に激怒してる彼女の声だった。
「ハァ!?何よそれ!アンタが頼み込むからわざわざ付き合ってみればコレ!?」
「ばっ・・・ちげぇって!」
「信じらんない!!!サイッテェエエ!!!!」
そう叫んで彼女は持っていたかばんを思いっきり大知の顔めがけて投げた。
「ぉい!待てってば!!てめっ・・・覚えてろよっ」
そんな良くありがちな台詞を吐き捨てて彼女のかばんを持って追いかけていく。