聖凛学園〜片思い物語〜
□5 消したい想い
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「ほな、気をつけて帰れよー?」
そんな栄先生の言葉を背に昇降口から出て行く。
また、変な仕事を任されて俺は居残りをしていた。
「大和のこと一人で帰らせちゃったし・・・」
なんて、愚痴りながら寮へと足を運ぶ。
普通の学校の寮といえばその学校の敷地内にあるような気がするけど
うちの学園はどうやら違うらしく、敷地から200メートルぐらい離れた所に寮がある。
だから、寮には原則で入るわけじゃなくいつ居てもいいし、いつ出てもいい。という、けっこう気まぐれな規則?がある。
別に家に帰るのも良いんだけど、俺的には中学時代のことを思い出したくないから基本は寮に帰ることにしている。
「おい、もう下校時間だぞ。どこの部活だ・・・?」
「え?」
ふと、自分に声をかけられたと思い反射的に後ろを見ると見覚えのある人が後ろに立って俺を見てる。
「ぇ・・・と。会長・・・?」
俺の顔を見ると、何か思い出したように「放送委員の・・・」と、委員会名を出して
「山瀬・・・」
「快です。快。あの、快晴の快って書いて...。」
と、詳細をつけて名乗る。すると、あぁそうだ、とスッキリしたように笑う。
それから、俺のことをじっと見て何か思いついたように一言呟いた。
「・・・・・・栄か。」
それが、自分の委員会の顧問の名前だと気づくのには少し時間がかかった。
「どうせ、またあいつになんか押し付けられてたんだろ?お前の所の委員長は良い提案はするけど、実行は誰かに任せるタイプだからな。」
「当たってる...」
そう呟くと
「いちお、生徒会長だからな」
と、自慢げに手を腰につけた。
経験をあたかも自分がしてきたように語るその口調に、ホントにこの人は生徒会長なんだな。と改めて実感する。
「お前、寮に帰るのか?」
「え、ハイ。いちお...。会長も?ってか、今日は要先輩とか一緒じゃ・・・――」
そこまで言うと、隣から妙なさっきがたっているのが分かった。
「え・・・?ちょ・・雨月かいちょ「 要 先 輩 ねぇ〜・・・あいつも副会長の自覚があるなら最後まで普通残ってるべきだろ...!それが、また河瀬のとこに行きやがって...」
「ちょ...。雨月会長!!」
俺が止まったのにも気づかずにどんどん前に進んでいく会長に
俺は思わず手っ取り早く掴めそうだった腕をぐいっと引く。
「おまっ・・・!!」
「落ち着きましたか?」
勢いで尻餅をついた会長の後ろから顔を覗かせる。
すると、少し照れくさそうに「悪かったな・・・」と、頬をかいた。