聖凛学園〜片思い物語〜
□2 I want to erase you.
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大和side
「やーまーとーっ!」
「っうわ!?」
放課後に、帰ろうとしたところに背中に重みがかかる。
後ろを振り向くといつもどおりの人物がいた。
「要先輩っ!いつも言いますけど、いきなり飛びついて来ないでくださいよっ。驚くじゃないですか」
「じゃぁ、いきなりじゃなければ飛びついてもいいの?」
そんな、要先輩の言葉に僕は答えに詰まった。
「今日は、生徒会の方の仕事はないんですか?」
と、話を切り替えて聞くと先輩の周りにパッと花が現れたように雰囲気が明るくなって
「今日、オレには仕事が無いんだぁ〜!!湊斗が代わってくれたからねっ」
「じゃぁ、野宮くんは仕事なんですか?」
すると、要先輩はムッと頬を膨らまして眉間にしわを寄せてそっぽを向いた。
「大和、涼の心配するのぉ〜?せっかく2人で帰れるのにぃ〜・・・。って・・・山瀬君は?」
いつもは、僕と快と野宮くん、あと要先輩とで帰ってるから2人きりになるのは本当に珍しい。
野宮くんは、今日は栄先生に呼ばれてることを伝えると要先輩の表情がまた明るくなる。
ホントに浮き沈みの激しい人だな...。と思って見ていると要先輩と目が合って笑ってくる。
「何々?オレに惚れちゃった?」
なんて、冗談なのか本気なのか分からないような口調で聞いてくるから
「違いますよっっ」
と、一言で訂正する。
でも、要先輩は確かに男子高校にはもったいないぐらいきれいな顔立ちをしていると思う。
中学の頃とか、女の子にモテたんだろうな・・・。
可愛いなぁっ!と言いながら僕の頬を突いてくる要先輩と、たわいも無い話をしながら僕は寮へと帰っていった。