07/21の日記

23:33
日曜(兄宍)
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※帰郷(兄宍)の続き。


朝早くやつらは一斉に合唱を始めた。一度にやめさせられないのが憎たらしい。俺は手探りで一個一個目覚まし時計のアラームを止めていった。
あと一、二個というところで腕の中の亮がもぞもぞと動き出した。
「おはよう、お前目覚まし時計多すぎだぞ。」
「んー、だって一個じゃ起きれないんだもん。」
そう言って、亮はまぶたをこすっている。そんなこすったら腫れるって。
やっと最後の一個のアラームを止めたところで、亮が目を開けた。
「おはよう…。」
声はかすれて、目が潤んでいる、どこか憂いを帯びた姿を見たら、なんだか下腹がこそばゆくなった。
亮、お前女だったら魔性の女になってると思う。天然で。

「今日は鳳君とストテニだっけ?」
「うん、あ、兄貴。午後暇?」
「まあ暇だけど、何で?」
「一緒に映画観にいかね?」
「…良いけど、鳳君と行かねえの?」
「うーん、長太郎より兄貴の方が好きそうな映画だから。」
「ふーん、分かった。家で待ってれば良いか?」
「あ、駅で待ち合わせして、お昼一緒に食べよう。」
「おう。」
「俺、行ってみたい店があるんだよね。」
という事は俺に奢ってってことか。現金な弟を、こいつ〜という意味を込めてこずいた。亮はいたずらっぽい笑みをかえした。

これが俺たちの日曜日の朝である。




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お兄ちゃんは大学1年生設定です。

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00:48
帰郷(兄宍)
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「ただいまー。」
「おかえり。」
リビングの扉から母が出てきた。リビングからはテレビの音が聞こえる。
「遅かったね」
「電車が遅れたんだよ。」
「ご飯は?」
「食べてきたって。」
車を車庫に入れていて遅れてきた父が代わりに答えた。
「すぐにお風呂入りたい。あれ、亮は?」
「明日早いからってもう寝たわよ。今何時だと思ってんのよ。」
腕時計をみたら、もう10時半だった。
「明日日曜じゃん。どこか行くの?」
「鳳君とストリートテニスに行くって言ってたわ。早く行かないと、コートすぐ埋まっちゃうんだって。」
「ふーん。」
気のない返事をしたが、内心ショックだった。
無理してでも久しぶりに帰ってきた兄を待ってくれていると思ったからだ。だんだん兄離れをしていく弟に寂しく思う。世間一般の兄弟じゃ普通なのだろうが。
俺たち兄弟は今までけんかはした事はないし、今でもお互いに誕生日プレゼントと誕生日コールは欠かした事はない。友人には引かれたが、それが俺ら兄弟にとって普通のことだ。
「私はもう寝るよ。」
そう言ってパジャマ姿のまま迎えにきてくれた父はあくびをしながら自室に向かっていった。
「お休み。」
母は食器を片付け始めている。何ヶ月ぶりに帰ってきた長男に対しての家族の素っ気ない態度に寂しく感じる。
ま、帰ってきた時間も時間だしな。
静々とお風呂場に向かっていった。

お風呂にも入り、寝る準備も整えて、数ヶ月不在にした自室に向かう。母ももう寝てしまっていた。
俺の部屋に向かう途中に亮の部屋がある。少し扉が開いていたのもあるが、寝顔でも良いから顔がみたいと思ったので、部屋の中をのぞいてみる。
案の定、中は真っ暗で見えない。規則的な寝息の音が聞こえる。
音を立てないように部屋に忍び入る。目がなれなくて足と耳をたよりに前を進む。やっと目が慣れてきて亮の顔が見えてきた。
まったく、風邪引くぞ。
足下に追いやられていた掛け布団をそっとかけ直してやる。
「ん…、かあさん?」
「悪い、起こしちゃったな。」
「にいちゃんか。だいじょーぶー…。」
そう言って、寝返りをうった。
「ただいま。」
「おかえりー。」
亮は眠いのか、目をあけない。
文句を言われないのを良い事に、好きなだけ頭をなでて顔を眺める。
「りょー。」
「んー?」
「一緒に寝ていい?」

冗談のつもりだった、亮のベットは小さいときは一緒に寝れただろうが、今の二人で寝るには小さすぎる。笑って断られると思ってた。

「歯はみがいた?」
そう言って亮はクスクスと笑いだした。
一瞬なにを言われたか分からなかったが、すぐに昔の記憶がよみがえってくる。
雷の日や怖いテレビを見てしまった日など亮は良く俺のベットまでやってきた。
遠慮がちに一緒に寝ていいか聞く亮に俺は必ずその質問をしたっけ?そしてそのあとは…。

「…うん。」
「じゃ、良いよ。」

クスクスと笑いながら亮は奥に詰める。頬が緩むのがおさえられない。家に帰ってから感じていた寂しさが一気に消えていく。やはり狭いので亮を抱き込む。寝やすい位置をさがしてもぞもぞ動いていた亮が動かなくなった。すぐに寝息をたてはじめた。腕の中の亮があまりにも抱き心地がよくて、俺もすぐに眠りについた。

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