STORY 3

□とある王国の物語
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「遅かったな」
俺が部屋に入ると、真っ先にそう言われた。
「しかたないやん。ここ来るのいややし」
真っ正直にそう言うと、俺の目の前にいるユーヒ兄貴が何かを作り始めた。

「ゆり。レオン押さえといて」
「はいっ!」
がしっと腕を捕まれる。
ゆりはまだ子供なのに、うでも細いのに、意外と力がある。

「な、なにすんねん!」
俺がそう叫ぶと

「トム。よろしく」
「最近城下に病が流行ってるのを知ってる?」
「あ、うん」
「それでね、ユーヒと一緒にお薬を作ってるんだ〜」
トムの手には一本の注射器が握られていた。
ダッ
「ゆり」
「はいっ!」
「くぉっ!」
俺が逃げ出そうとしたら、関節をきめられた。

「いっ〜!」
涙が出そうになった。

「黙れよ〜(笑)」
「おちゅーしゃですよ〜(笑)」
「痛くないからな〜(笑)」


俺の兄弟は笑うと怖い。
そう思った。
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