STORY 3

□とある王国の物語
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「兄上〜?兄上〜?どこにいるの〜?」
宮殿の廊下をとたとた走る妹が見えた。

「早く出てこないと、ユーヒ兄様やトム兄様に怒られちゃうから、早く出てきて〜!」
俺の足元でわめく妹。
名はゆり。この国のなかでは珍しい和国の名を持っている。

「兄上〜!レオン兄上〜!」
ゆりの目が天をあおいだかと思うと、涙に潤んだ目がキラキラ輝きだした。

「兄上!発見!」
見つかった。
俺はつかまっていたシャンデリアから手を離し下に降りる。

「見〜つけた!」
降りたとたんにぽふっと抱きつかれる。

俺の腹の辺りに当たった頭を軽く撫でてやる。

「探したよ!さ、鏡の間に行こっ!」
「嫌や」
ぐるっと方向転換をしようとしたら、腹の辺りで何かがそれを妨げた。
「ん?」
と思って腹を見ると

「なぜに紐…」
俺の腹回りには、かなり引っ張っても切れなさそうな紐が巻かれていた。
「逃げないでねっ」
笑って言う実の妹が怖くて俺はそれにしたがった。
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