中・長編
□記憶 第一話
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「銀ちゃんこれあげるネ!ありがたく受け取るヨロシ。」
「は…?」
頼んでおいたお使いを終えて、帰って来るなり満面の笑みを浮かべてそんなことを言った神楽の手にあるのは一本の小瓶。
中には薄桃色の液体が入っている。
「それ新商品のジュースなんですって。試供品として配っていたのでもらってきちゃいました。」
買ってきた食材をしまいながら新八が言った。
「…おめえらの分はねぇのか?」
銀時が訝しげな顔をする。
得体のしれない液体をすすめられているのだから当然だろう。
しかも普段自分のために食料などくれるはずもない人からの献上品。
ますます怪しい。
「僕たちはその場で飲んだんですよ。」
「ごっさ美味しかったから銀ちゃんにも持って来てやったアル!」
二人は何故か銀時に受け取ってもらおうと必死である。
「なんでそんなに俺に飲んで欲しいんだよ。毒でも盛ってんのかコノヤロー。」
ますます表情を歪める銀時。
怪しい。絶対に怪しい。
「そんなことする訳ないじゃないですか!本当に美味しかったから銀さんにも飲ませてあげたいってだけなのに…!」
「銀ちゃんは私たちのこと信用してないアルか…?」
「う…。」
悲しげな二人の様子にとうとう銀時は折れた。
「わぁーった、わぁった。ありがたく飲ませてもらうよ。」