中・長編
□記憶 第二話
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「ッ離せ!!」
怒気を含ませて叫ぶと驚いて緩んだ神楽の腕から無我夢中で逃げるように抜け出す。
体が小さく震えているのが分かった。
「…銀ちゃん?」
戸惑ったような神楽の声と視線に、ふと我に返る。
「…あー…、ほら、銀さん本来はおっさんだからね?
おっさんと少女がスキンシップとったら犯罪だから。刑務所行きだから。」
しどろもどろになりながら弁明する銀時に
「…そうアルな。」
釈然としないような返事をする。
納得はしたようだが、
「それでも今の銀ちゃんは子供だから世話するのは当然ヨ!」
と言っている限り、銀時への接触を諦める気は無いらしい。
苦笑いする銀時の心境は先ほどの神楽以上に戸惑っていた。
さっき感じた嫌悪感には身に覚えがあった。
遥か昔、もう殆ど記憶が残っていないほどの過去に感じたものだった。
かつて銀時に近づく者は銀時を痛めつけようとする者たちばかりだった。
そのため銀時は人との接触を極端に恐れるようになった。
松陽に拾われたことによって人嫌いは徐々に克服されていったが、それまでは少し触れられただけでも肌身離さず携えていた刀を抜刀するという状況であった。
なぜ今になって突然この感覚が、と考えているうちに新八が戻ってきた。