Ss.


□02
5ページ/11ページ



◆私は、今、恋をする


『あ、』


今日もいらっしゃる

何の気無しにその辺の景色を眺めていたら、いつも決まって目を奪われる方がいる

その方は、いつも一生懸命にラケットを振っていらっしゃる

その眼差しやお顔は、とても端正で凛々しくて


『今日も頑張っておいでだなぁ……』


何処のどなたなのか――お名前もお歳もお仕事も、私は何も存じ上げていない

あれだけ真剣なのだから、お声をかけたらかえって迷惑になる

そんな理由で、自分の臆病さを正当化してみたり


――ぽーん


そんな思考を巡らせていたら、足元に何かが飛んできた

何かしらと拾ってみれば、


『バドミントンの、シャトル……?』

「あっ、すみませーん」


その声に顔をあげると、いつもの方がこちらに向かって手を挙げている

彼の目は、明らかに私を見ているようで

「それ、取ってもらってもいいですかぁー?」


それ、とはこのシャトルのことか

私は返事を返せずにただコクコクと顎を引く

すると、彼は春の陽だまりの如く温かく微笑んでくれて


遠くから眺めていると格好よくて
触れてみると陽だまりみたいに温かい

そんな彼に、私は、今、恋をする――


==============================

山崎君は、何気に一番好きなキャラだったりします
 

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ