Ss.
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◆私は、今、恋をする
『あ、』
今日もいらっしゃる
何の気無しにその辺の景色を眺めていたら、いつも決まって目を奪われる方がいる
その方は、いつも一生懸命にラケットを振っていらっしゃる
その眼差しやお顔は、とても端正で凛々しくて
『今日も頑張っておいでだなぁ……』
何処のどなたなのか――お名前もお歳もお仕事も、私は何も存じ上げていない
あれだけ真剣なのだから、お声をかけたらかえって迷惑になる
そんな理由で、自分の臆病さを正当化してみたり
――ぽーん
そんな思考を巡らせていたら、足元に何かが飛んできた
何かしらと拾ってみれば、
『バドミントンの、シャトル……?』
「あっ、すみませーん」
その声に顔をあげると、いつもの方がこちらに向かって手を挙げている
彼の目は、明らかに私を見ているようで
「それ、取ってもらってもいいですかぁー?」
それ、とはこのシャトルのことか
私は返事を返せずにただコクコクと顎を引く
すると、彼は春の陽だまりの如く温かく微笑んでくれて
遠くから眺めていると格好よくて
触れてみると陽だまりみたいに温かい
そんな彼に、私は、今、恋をする――
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山崎君は、何気に一番好きなキャラだったりします