book secret short-T
□真昼の逢ひ引き
1ページ/1ページ
『なぁ、これ真田の旦那にばれたらヤバくね?』
忙しい合間を縫って、久々に愛しい恋人に会いに来たって言うのに、名前が顔を曇らせて言う
その顔は、不安と心配に満ちあふれていて
「だーいじょうぶだって」
安心させるように言うけれど、名前の顔は晴れない
『んー、でもなぁ』
眉をハの字にして、困ったように言う名前
煮え切らない返事しかしない名前に、だんだん腹が立ってきた
俺様といる時に、他の男のことを話題にするなんていい度胸
「ねぇ」
何、と振り返るその唇に、自分のそれを強引に重ねる
『んぅっ……』
薄く開いたその口に舌を滑り込ませ、名前の舌を絡め取る
口づけは、ますます深いものになった
『んー!』
酸素が不足してきたのか、名前は俺の胸元をドンドンと叩く
少々名残惜しい気もしたけれど、俺は仕方なく名前を開放した
『何すんだよ急に!?』
「俺様の前で旦那の話する名前が悪い」
せっかく忙しい俺様が会いに来てやったのにさ
とっておきの声を耳元で聞かせてやれば、途端に顔は熟れた林檎のよう
「かーわいいの」
素直に思ったことを口に出せば、名前はますます赤くなった
真昼の逢ひ引き
((忙しい合間を縫って会いに来た甲斐があったよ))