book short-T


□きみ不足が深刻なんです
1ページ/1ページ



「名前ちゃーん、銀さんいつものやつぅー」

『あ、はーい、ちょっと待ってて下さいねー』


久々に私の働く甘味処に訪れた銀時さん

少し前までは殆ど毎日のように甘味を食べに来ていたのに、ここ最近は1ヶ月程ご無沙汰だった


『お待たせしました、銀時さん』

「ありがと〜、名前ちゃん」

『ここ最近来られませんでしたけど、お忙しかったんですか?』

「んー、銀さんも色々あってさ〜」


そう言って笑う銀時さんのその笑顔も久しぶりだ

美味しそうに甘味を食べてくれるその姿も

そう思うと、自然と頬が緩んでしまう


「どしたの名前ちゃん、何かいいことでもあった?」

『あぁいえ、銀時さんに久しぶりにお会い出来たものですから』


何だかそれが嬉しくって

そう言うと、急に視界が暗転した


『はわ……!? 銀時さん?』


正確には、銀時さんに抱きしめられていた

小柄な私は、銀時さんのその逞しい腕の中にすっぽりと収められ身動きが取れない

ただただ頬に熱が集まるのを自覚するだけ


『あ、あの! 銀時さ……』


恥ずかしさのあまりに何とか放してもらおうと唇を開けば、すぐさま銀時さんのそれに塞がれて

その行為を理解するのに要した時間たっぷり5秒

私の顔はますます赤みを帯びて、これではまるでゆでダコだ


「突然ごめんね、名前ちゃん」


そう謝りつつ、銀時さんは更に私の耳元で低く囁く


銀さんね、

み不足が深刻なんです

((私も同じです、とはとてもじゃないけど言えません))
 


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ