book short-T
□傍らで眠る、温かな存在
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『んー、いい風』
ぐーっと伸びをしながら潮風を感じる
初めは慣れなかった海の上での行動も、今ではすっかり生活の一部になっている
心地よい風とぽかぽかした陽の光
そんな雄大な自然たちは、どこからか私の睡魔を誘ってくる
『……少し、お昼寝するのもありかも』
どうせならこのぽかぽかした陽差しの中でお昼寝したい
そう思いながら辺りを見回せば、目に入ったの鮮やかな緑色
陽だまりの中、ゾロさんは気持ちよさそうに眠っている
『そっか、ここってゾロさんの指定席……』
起きている時よりも無防備な顔
何だか微笑ましくて、思わず笑みが零れる
『……お隣、お邪魔してもいいですか?』
寝ている人に許可を求めたって仕方ないのだが、何となく聞きたかった
「……んがっ」
突然聞こえたのはゾロさんのいびき
そのあまりのタイミングの良さに、笑い止まらない
『失礼しますね』
彼のいびきを都合良く肯定と解釈して、私はゾロさんの横に寝転がった
傍らで眠る、温かな存在
((あなたの隣だと、陽だまりじゃなくてもあったかいみたいです))