book short-T


□私限定、私の特権
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『景ちゃん』

「あ? なんだよ」

『景ちゃんの髪ってホント綺麗だねー』


この髪大好きー

そう言いながら景ちゃんの髪に指を絡めていると、彼の顔はほんのり赤みを帯びる


『……景ちゃん、もしかして照れてる?』

「うっうるせぇ!」

『あはは、景ちゃん可愛い〜』


怒った様な拗ねた様な、そんな曖昧な表情ながらも、景ちゃんは私の手を邪険にはしない

たったそれだけのことにさえ、景ちゃんをとても愛おしく思う


「……好きなのは、俺様の髪だけか?」


好きなのは、俺様自身じゃなくて髪なのか?

さっきよりももっともっと赤くなりながら、景ちゃんは私に問う

不安を隠しきれてない、年相応の声で


「なっ!?」

『景ちゃんってばホント可愛い〜!』


こみ上げる嬉しさのやり場に困り、思わず景ちゃんに抱きつく

全く、この素直じゃない年下の彼は、なんて愛おしいんだろう


『景ちゃんが一番好きに決まってるよ、大好き』

「……そうか」


ほっとしているその顔すら、私の頬を緩ませる要素であって


「俺様の髪を撫でられるのは名前だけなんだぞ」

『それは、嬉しいな。私だけの特権だ』

「……光栄に思えよ」

『勿論!』


最後に飛び出る俺様な台詞

嗚呼、嬉しすぎてどうにかなってしまいそう――!


髪を撫でられることも、こんな可愛い姿見られるのも、

限定、私の特権

((コートでは見られない、私の年下の王子様))
 


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