book short-T
□ファンタスティック・池袋ガール
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『しーずおさんっ!』
大きく息を吸い込んで、出せる限りの声を出す
私の声に気づいてくれたのか、ゆっくりとした動作で此方を振り向く静雄さん
こんなにも優しい瞳をする人なのに、どうしてみんな静雄さんを怖がるんだろう?
「名前か」
『えへへ、こんにちは静雄さん!』
駆け寄った私の頭を、その大きな手で撫でてくれる
静雄さんに撫でてもらう
たったそれだけのことだけど、私にとっては至福の一時
目を細め、されるがままになっていると、静雄さんから一言
「名前、お前猫みたいだな」
この一言ですら、私を喜ばせるには十分な効果を発揮して
静雄さんはどうしてここまで私を喜ばせるのがうまいんだろう、と不思議になるくらいに
『静雄さん大好きですー』
伝えたくて伝えたくて仕方がない言葉を、今日もあなたに贈る
私の言葉に顔を赤く染める静雄さんを可愛いなぁと思いながら
今日も私は、池袋にて静雄さんの隣を歩く
最大級の、これ以上ない幸せをかみしめながら
私が、絵理華ちゃんやウォーカー君におかしな呼称で呼ばれるようになるのは、
そう遠くない未来――
ファンタスティック・池袋ガール
((あなたの隣に居られるならば、私何て呼ばれてても構いません))