book short-T


□泣き虫悪党
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『……スクアーロ?』


任務から帰り、報告書をボスに提出

風呂にでも入って今日はもう寝ようと思っていた矢先――

急に腕を引かれ、腕の中に閉じ込められた


私の恋人――S.スクアーロに


『……どしたの、急に?』


今日はもう寝てしまいたかった

故に自分の声に険が含まれることを否定出来ない


「……名前」

『……何』


普段の彼からは想像がつかない程大人しい声

妙にしおらしい


「名前、もう無理すんじゃねぇ……」

『は?』


何言ってんのどうして気づいたのていうか馬鹿なこと言わないで

頭の中がぐるぐるする

どうしよう、泣きそうだ


『な、何馬鹿なこと言ってんの。私無理なんかしてないよ』


精一杯の虚勢、声は震えてないだろうか


「嘘つけ、テメェがいっつも泣いてんのを気づいてねぇとでも思ってんのか」


俺を甘く見るんじゃねぇぞぉ

スクアーロが耳元で囁く

ああ、もう駄目、涙がこぼれる


『馬鹿ぁ……、どうして気づくのさぁ……』

「馬鹿はどっちだ。一人殺るのにも傷つくような奴がよぉ」

『だって仕事なんだもん、うあぁあぁぁ……!』


我ながら子どものような泣き声

スクアーロはさっきよりきつく抱きしめてくれた


「お前な、この仕事やめろぉ」

『え、でも』

「俺の嫁になりゃぁ済む話だろぉ」


き虫悪党

((どこまでも貴方らしいプロポーズ))
 


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