安池一家

□五章
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夏休みに入った、葉子と友樹は遊ぶ事なく部活に励んでいた。

「葉子も友樹も部活だっちゃ!玲・・・そろそろ母さん達にも彼女さん紹介してくれへん?」

そんな中、暑い時でも着物を着ている撫子は、久しぶりに家に来た玲にそう言った。

『ぶはっ』

聞きながら飲んでいたお茶を口から出した玲は、撫子を見た。

「玲も罪な男やな。母さん、葉子から聞いて驚いたわ。」

笑いながら、お茶を出した玲に布巾を渡した。
無言のまま、布巾を受け取り机を拭いた。

「葉子も恋しとるし、友樹は青春しとるし、玲には恋人いるわで・・・母さん」

俯きながら弱々しく言う撫子に、不安になった玲は撫子に近付いた。

『母さん・・・』

「めっちゃ嬉しいわぁ!皆、自分の道に進んでるんやから!」

俯いた顔を上げて笑いながら、撫子は言った。

『・・・そっ、そう・・・』

唖然としながら玲は、撫子を見た。






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