安池一家
□三章
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「豊永は?お前っまた部活サボってんのか?」
天城の肩に、グッと手を置いて聞いた。
「豊永は、安池さんに指導中。俺は休憩。サボってねーよ。あ、ゆーきちは?」
天城は、肩の痛みに少し顔を歪めながら友樹を探した。
そんな天城を見て、呆れた伊東は更衣室を指差した。
「シャツを替えに行った。」
「・・・ま、ゆーきちも柔道の強者だし。玲様に似てるからちょっと顔を見たかっただけなんだよな。ま、いいか。」
更衣室まで行かないのは、天城自身柔道の聖地にのけのけとは入らない。だからいつも入り口付近で、軽く見るだけであった。
「天城、その休憩も終了みたいだ。」
伊東は、天城の後ろを見ながら言った。
後ろを振り返ると、葉子が頭を下げていた。
「あ、天城副部長、休憩は終わりましたよ!!」
「早く行け」
「分かってるわ。ありがとう、安池さん。」
そう言いながら、葉子と走りながら去っていった。
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