安池一家

□五章
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その頃、葉子もまた練習で忙しかった。

「集中・・・出来てないぞ!よーこん!!的を見ろ!!琴平ぁ!!全く集中出来てないぞ!!」


忙しなく厳しく言う天城に、葉子もビクビクしながら的を見た。

「天城、ぴりぴりし過ぎです。初心者は、貴方の怒鳴り声で涙目になりますよ?」

怒鳴っている天城の隣に、豊永が冷静に天城を止めた。

「あ、天城副部長・・・琴平さんが泣いてます。」

葉子は、そろそろと天城に近づいて泣いている琴平の事を告げた。

「琴平さん、泣かずに的を見て弦を引いてみて下さい。天城も合宿前でぴりぴりしているだけですから。」

琴平に近寄り、豊永は的を指差しながら言った。

「うぅっ・・・分かりました。」

涙を拭いながら、真っ直ぐ的を見た。

(やっぱり・・・豊永先輩は優しいけど教え方が上手いなぁ。)

「よーこん、集中・・・」




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