トキヤ2
□16
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16.
「早かったね。入りなさい」
約束の時間より早く現れた私を、彼は満面の笑顔で出迎えた。
私がどのような思惑を持ってここへ出向いたのか、微塵も気付かぬ腑抜けた面だ。
その顔がどのように歪んでいくのか、当事者である私は特等席で観覧することにしよう。
無表情のまま入室の挨拶だけを口にして、私は足を踏み入れた。
おそらくハヤトですら未体験の、過去どれよりも長くなるであろう最後の夜に。
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